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第146話

「だからこそ、他の奴に見られるなんてことはあってはならない。俺だけが見ていい姿なんだから」 彼が噛みしめるみたいに言った言葉は、彼自身に言い聞かせるみたいに聞こえた。 彼は何も悪くないのに、自分を責めるみたいなことを言ってほしくない。 「わぁかったって!」 それ以上口を開かせたくなくて、ちょっと大きな声で制してしまった。 「もう言わなくていいマジで!」 少しでも俺以外のことを考える時間が惜しい。俺以外のことを思わないでほしい。 駄々っ子みたいに無理矢理首を横に振ると、彼の方が戸惑った顔していた。 「おお、すまない、そんなつもりじゃあなかったんたんだ」 「そんなつもりでもどんなつもりでもいいから、本当にもうその話ナシ!」 これ以上話すことは許さない、くらいの圧と駄々をこねてみる。たまには子供っぽく振る舞ったってバチ当たらないだろう。 話を蒸し返すつもりはないけど、例えばこんなのをあのバカ王子の前でやれって言われたら、本当日本人らしく潔く切腹すると思う。 彼だからこそ出来る顔が、今まさにこの瞬間なんだと思う。 「わかった、すまなかった」 彼は体を起こして、俺の腕を掴んだ。引っ張られて、俺もそのまま体を起こす。

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