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第147話

「これからは、いつも通り、お前のことだけを思って抱く」 目を見てハッキリと言われた。 「だがハニー、これだけは許してくれないか。彼に、お前に近づかないように伝えることを。俺は彼に、お前が俺のものであることをきちんと伝えないと気が済まない。お前から離れるように言わないと、気が済まないんだ」 一人の男として!といつになく鼻息荒くしている。迫力に、ちょっと押された。 それはもちろん嬉しいし有り難いことだけど、世界的な企業の社長で、いわば公人としての顔もある彼が、仮にも一国の王子サマ相手に勇んで文句を言うのは、好ましい状況ではないだろう。 「あー、うーん、そうねぇ、うん」 なんて答えたら角が立たないか考えたけど、ハッキリそのまま伝えるのが一番いいか。 「お前の妻として、それってすげぇ嬉しいことだと思うけど」 前置きして思ったままを伝えると、すっかりしょぼくれてしまった。 「ハニーの言うことも一理ある。しかし、それでは俺の気持ちがおさまらないから……」 でかい図体が、折りたたまれるみたいに小さくなる。 「うん、わかるよ、お前の気持ちは。ありがとう」 本当に軽くポンポン背中を叩く。彼の気持ちを鎮めるには、意識を全部、この行為に集中させちゃうのが一番手っ取り早くて確実だな。

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