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第154話

「ああ……っ」 もう十分深く彼を受け入れているというのに、もっと奥まで侵食されるような感覚。自分の体重の分、さらに深く深く食いこまされる。 「ぃやっ、あ」 腰をしっかりと掴まれて、逃げることも許さない。せめて腰を揺らして抵抗するものの、彼はこの格好に馴染むのを待つみたいに微動だにしない。 「こっちの口は腹が減っているのかな、俺のが食いちぎられそうなくらい締め付けてくる」 自分でもわかる。うねるみたいに中が動いているのを。 「待ってっ、腹、いっぱい……」 腹全体が彼のもので突き上げられてるみたいで苦しい。 ちょっと体が震えるのを、彼の大きな手がそっと支えてくれる。 「あぁ、まだ動かないから安心しろ」 そして、向かい合った顔中にキスを繰り返してくる。分厚い唇に何度もキスされていると、なんだか俺が弱々しい生き物になったみたいな感覚に陥る。 「ん……」 そんな自分の感覚に戸惑って彼の目を見つめると、彼も彼でとんでもなく優しい表情で俺を見ている。 「可愛いらしい。本当に俺は幸せ者だ、こんなに可愛らしい妻と出会えて」 じっくりと見つめられるから、恥ずかしいし余計に体が反応しちゃうし。

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