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第160話

結局もう一言二言喋るか喋らないかで、俺と彼は眠りについてしまった。 いろいろあったけど、改めてちゃんと彼との間の愛情みたいなものを確認できた部分も大きくて、まぁそれはそれでいいのかな。 いろいろあったからすっかり忘れていたけど、帰国がもう数日に迫っている。 布団もかけず、素っ裸で目を覚ました俺たちは、示し合わせたようにその事実に気がついて、慌てて完全に私物化していた部屋の中の荷物をざっくり片付けたのだった。 「つうかさ、結局あんまり街の観光とかしなかったじゃん、観光しようよ、せっかくだし。お土産も見たいし」 さらっと回ったけど、満喫したわけじゃない。お祭り好きの日本人の血がさわぐんだか、せっかく祭りがあるなら見ておきたい気持ちがある。 片付けるだけ片付けた部屋の中、彼にねだってみると、鼻の下を伸ばして頷いてくれた。 カラッとした昼下がり。街はまだまだ祝福の真中で、騒がしくてカラフルで気持ちがいい。 「すげぇ、大道芸生で初めて見た」 「あっちも見てみろ、彫刻のように動かない人間が立っている!」 遊園地にはしゃぐ子供の気持ちそのものだった。年甲斐もなく、あっちこっち指差してはしゃいじゃう。 その指の先に、ヤツがいた。

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