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告白

 昨日のデートはせっかくキヨさんが時間を丸1日  作ってくれたのに、自分のせいで台無しに  してしまい、ボクはどっぷり落ち込んでいた。    ”1日中閉じこもりっ放しは良くない”って  キヨさんとドクターサイラスに言われ、  始めた夕方のお散歩も何となく気分がノラなくて  いつもより早めに切り上げ、マンションへ戻る。   エレベーターに乗り20階へ。  降り立った途端、  住人の誰かが痴話げんかでもしているのか?    女性の涙声がフロアに響き渡った……。 『どうしてよ?! なんで私じゃだめなのっ?!』 「?……」 『どうせ例の縁談は破談になったんでしょ。  なのに……どうしてなの? 清貴さん』  きよたか、さん……?  ボクは2人に気付かれないよう足音を忍ばせ近づいて、  角からそうっと覗いた。 「なんでよりにもよってあんな子供なの?!   なんで?……どうして?」  その女性の嘆く横顔を見て、  彼女がついこの間交番で見かけた婦人警官の人だ  と分かった。     キヨさんの困惑した表情が、  ここからでもはっきり見て取れる。  キヨさんは諭すように話しを繋げる。 「笠井さん、俺は君の気持ちには応じられない。  ずっとそう言ってきただろ」 「あんな子供の何処がいいのよ?!」 「さぁな……正直自分でも分からんが、  俺は悠里が好きなんだ」  そう告げたと同時に、  笠井さんの肩越しでキヨさんとボクの視線が  カチ合った。  次の瞬間、笠井さんはキヨさんに抱きついた。 「お願い。もう1度私にチャンスをちょうだい」  ボクは ”シーッ”と人差し指を口に当て、  キヨさんと目を合わせたままこの場からそっと  立ち去った。  再びエレベーターに乗りエントランスロビーへ。  そのまま茫然と、マンションに併設されてる  プレイランドのブランコに座った。  見てはいけないモノを見てしまったような気がした。  あの”笠井さん”って呼ばれてた女の人と  キヨさん ――、  2人の間には、  一体どんな時間が流れていたんだろうか?  そう言えば、2~3日前遊びに来た松浪さんから  ”庶務の笠井も大学の同期なんだ”と言われたのを  思い出す……。 こんなボクなんかとじゃなく、 人間の女性と一緒になればキヨさんは今より もっと幸せになれる。 彼女は泣いて縋って来る程、キヨさんの事が好き なんだから……。  何度も脳裏に、笠井さんがキヨさんに  抱きついた場面が蘇り、考えるだけで切なく、  胸がギュッと締め付けられる。  10分ほど経っただろうか?  笠井さんがマンションの玄関から出て来た。  涙を拭いながらもグッと奥歯を噛み締め、  前を向いてツカツカと歩いて行く。  流石はキャリアウーマン。  後ろ姿から意思の強さが滲み出ている。      こんな切ない場面には全く不似合いな  笑点のテーマ曲が流れる ~~。  うっ ――、着信音変えるのすっかり忘れとった……。  相手は、キヨさん。 「はい、もしもし」 『―― ユーリ、お前、何処に行った?』  歩きながらなのか? 声がかなり慌てている。 『すぐそこに行くから教えろ、何処だ?』  ちょうど言い終わるか終わらないかで、  キヨさんがマンションから出てくるのが見えた。 「何とか言えよユーリっ」  その時、偶然近くにいた野良犬が吠えた。    ”わぉ~ん” ――  受話器からと、同時に犬の鳴き声が聞こえキヨさんは  辺りを見回した。  自然とブランコに座ったボクと目が合った。  じっとボクを見つめる優しい瞳……  そして、キヨさんはふっと優しく微笑んだ。 「……見ぃーつけた」 「……見つかった

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