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宣告

驚いている間に俺の世話係が勝手に俺の荷物をまとめて持って来ていた。 「愛斗、何してるの!早く行きなさい。」 「はい…お母様」 久しぶりに俺に向けられたお母様の声は何故だか、俺の心にぽっかりとした穴を開けた気がした。 屋敷の外に出てみると、見慣れない車が一台止まっていた。 その中から、執事らしき人が出て来た。 「愛斗様、お待ちしておりました。どうぞ、お乗り下さいませ。」 「ありがとうございます。」 多分、橋本ってやつのところに連れて行かれるのだろう。 車に乗って、ぼーっと外を眺めてみるとそこには綺麗に輝く満月があった。 不思議なくらい輝いていて 今まで見た満月の中で一番輝いていると思った。

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