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出会い
長いこと車に乗っていた。
2時間弱ぐらいだっただろうか…
いや、もしかしたら1時間だったかもしれない。
それぐらい俺には長く感じられる時間だったのだから…
「愛斗様、どうぞお進み下さい。この先に千晶様が待っておられます。」
「はい…ありがとうございました。」
お礼をなんとか声を絞り出していい目の前の戸を開けた。
そこには言葉では表しきれないぐらい美しい人が立っていた。
「初めまして、愛斗さん。」
「なんで名前を…」
「和泉 愛斗 さん。18歳の高校3年生。私の妻となっていただく方ですから、しっかり存じ上げておりますよ?」
「……あの…」
「あぁ、申し遅れました。私は橋本 千晶 と申します。よろしくお願いしますね?」
「えっと、そうではなくて…ですね…」
「そうではないと言いますと?」
「……私、男…ですよ?」
「えぇ、存じ上げておりますよ。」
「あの、男同士ですし……結婚は…」
なぜ俺は両親にも言えなかったことを、今初めて会った人に向かって言えているのだろうか。
後で、後悔するかもしれないということも考えずに…
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