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出会い
「やだ…?何言ってんの?愛斗に拒否権なんてないよ。」
そう言った橋本さんは俺を横抱きにして寝室らしき部屋に連れて行った。
そしてベッドに放り投げられたのだった。
優しさなんて微塵も感じなかった。
「何するんだよ!」
「何ってナニするためでしょ?」
なんだよ、その蔑んだような目は…!
俺には…もう人として生きる価値なんてないのかよ。
なんなんだよ…
意味わかんねぇし。
いきなり親に橋本の嫁に行けって言われて?
俺の人生踏みにじった挙句
人として生きる価値も
いや、人なんかにみられてないってことかよ…
こんな奴の前で泣きたくなんてないのに
目頭が熱くなってきて、視界がぼやけた。
「泣いてる暇があるなら、さっさと服脱ぎなよ。」
頭の奥を鈍器で叩かれたようだった。
俺は自身の選択が間違っていたと今更気づいた。
もしあの時…
両親から告げられた時に自分の気持ちを伝えられていたならば
少しはましな未来を過ごせていただろうか。
考えなくても当たり前のように、ましだっただろう…
そんなの分かりきっている
だから後悔は深まるばかりだった。
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