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** イケメン王子の憂鬱 **

♡♡♡ 王司・side ♡♡♡♡ 『あっ・・・!』 ガチャンッ!! 嫌な音がして・・・マグカップが割れた。 しかも、よりによって、大地の。 『あーぁ、割れたな。』 大地がすぐに音を聞きつけて やって来てくれる。 『ご、ごめん・・・手が滑って・・・・』 大学に入って、大地と出会って 家に泊まりに来てくれるくらい仲良くなって お揃いではないけど 一緒に買ったマグカップ。 その時はまだ俺も 友達としか思ってなかった けど・・・、今は・・・・・・。 だから、大事にしてたのに。 うっかり割らないように気をつけてたのに・・・・ 『王司、危ないから あっち行ってろ。』 そう言って、てきぱきと片付け始める大地。 手伝いたいけど、俺がいると かえって邪魔になって迷惑をかけてしまうって事 イヤってほど分かってるから 俺は 静かに その場を離れた。 いつも、こんなんだ。 俺って・・・・・ 見た目、器用そうに見えるらしい・・・・けど、 実は かなりの おっちょこちょい。 方向音痴だし、忘れ物も、無くし物も多いし モノにも人にも ぶつかるし よくコケるし、階段も 落ちそうになるし 大地には 「今までよく無事に生きてこれたな」 なんて言われたり。 まぁ、これまでの人生、 なんでか世話好きな友達のおかげで 何事もなく 元気に 生き延びてこれたんだけど。 『よし、終わったぞー。・・・・って・・・王司?  なんだ、落ち込んでんのか。』 片付けが終わった大地が俺の傍にやって来た。 『ご、ごめん・・・』 しょんぼりしてる俺を見て、大地が笑う。 そして、(2人きりの時には よく してくれる) 頭を なでなで。 普段はこれで、ご機嫌に戻るんだけど。 『ん?これじゃダメか。  ・・・・・・・うん。抱っこしてやろうか?』 『むー?俺、子供じゃないし。』 『知ってるよ。だから、抱っこしたいんだって。』 『・・・・・・・ん?子供じゃないから?したい???』 『そ。ほら、来い。』 『・・・・・んん?え?どういう意味?』 『いいから。来い。』 『・・・・・うん・・・・・・・・・・???』 よく分かんないけど。 まぁ・・・・・いいや。 抱っこ♡♡ 俺に向かって両手を広げる大地に思いきり 飛び込んだ俺。 ギューってされると、安心して・・・ 力を抜いて 全部を大地に委ねる。 『よしよし。いいコいいコ♪』 『・・・・・こ、子供じゃない・・ってば・・・////』 『・・・・・・・・・知ってる。』 そう言いながら、頭を撫でてくる大地。 『王司は そのままで いいよ。  (そのために俺がいるんだし)←小声  だから落ち込むな。な?』 『・・・・・・う・・・?・・・・・うん////』 ああ、 大地、優しい・・・・・・・・ (途中、よく聞こえなかったけど) やっぱり好き♡. 大地、大好き♡ 大地も俺を好きになってくれないかな。 好きになってもらうには もっと頑張らないと・・・! 遊くんみたいに 可愛くて、しっかりしたコになりたいな・・・・・ よし。 がんばろう。 がんばるぞー! ───この時。 顔を上げて大地の顔を見ていたら 俺は・・・・・・ 気づくコトが出来ただろうか。 愛しそうに、優しそうに俺を見る 大地の表情()に・・・。 でも、俺は・・・・ その時も、その後も 全然、気づくコトなく 一緒の時間を たくさん過ごした。 普通、友達同士で お揃いのマグカップ買ったり、 落ち込んだ時、抱きしめてくれたりなんて しない、とか。 大地が無条件で 優しいのは、俺にだけ、とか。 知らなかった 気づけなかった だって・・・・ 意地悪な大地は、ホントの顔を隠すから。 大地の秘めた想いを 俺が知るのは・・・ まだ もう少し先のお話。      ♡ ♡ ♡ お わ り ♡ ♡ ♡

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