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第14話
さて、学年末テストが終わり、体育祭が間近に迫っていた。生徒会と風紀委員会はその準備に追われていた。件のFクラスは代表である黒谷雪路によって参加表明が成されていた。
その一方で、一般生徒のクレームが殺到した…かと思われたが、そんなことはなく最近のFクラスはしっかりと統制がとれていることも一般生徒の間に伝わっていたし、不安こそはあれど批判的な声は少なかった。
Fクラスはもう黒谷雪路と夜識薫によって、すっかり更生施設に変えられていた。
しかし、今回は初めてのFクラスの参加に役員としては厳重な警備をしなければならなかった。
それにより、生徒会と風紀委員会は例年より遥かに忙しかった。
そんな中、比呂は燃えていた。
(今回なにか問題が起これば、Fクラスに火の粉が降りかかり、薫さんに迷惑がかかる!!)
今の彼の心境とすれば、こんな感じだろう。
実際、少なかったとはいえ批判的な声あるのだ。
批判派がなにかしらFクラスに罪をなすりつけたりする、という可能性がある。
実際、比呂や山蛇以外の生徒会、風紀委員はFクラスについてあまりよく知らない為に、もしFクラスがなにかした、となれば「あぁ、やはりそうか」となってしまうのは仕方がない。
………多分、比呂は「そんな訳ない」と突っぱねるが。
絶対、問題なんて起こさせない。
***
………忙しい。こんなに忙しいのか。
去年はもうこの時期に補佐がついていたが、それは次の年の為。俺は副会長として去年は仕事をしていたが、こんなに忙しかっただろうか。
まあ、これもFクラスの参加によって、去年より大幅に変更された点が多々ある。
だからと言って、俺様の代で失敗なんてプライドが許さん。
今年は役員が二年中心の為に来年もほぼこのメンバー確定だろう。あとは書記枠のみなので、補佐をつけるほどではない、と判断された。二学期になったら二年か一年の人気投票の高い奴らの中から補佐が選ばれるだろうが。
まあ、人気投票なので変動するものではあるが、来年もほぼこのメンバーには間違いない気がするのはあ俺の思い過ごしではないはず。
しかし、よくまあ、
「なんでそんなにやる気なんだ…」
ものすごい勢いで通常業務を終えた比呂につい、疑問が口から出てしまった。
「…………仕事が好きなので」
いや、お前そんなキャラじゃないだろう。別に仕事をサボったりするわけではないが、余計なことはしない。面倒くさいことはしない。が口癖のコイツ。
どこからそのやる気をだしてんだ。
ついには、会計や庶務からいつにも増して仕事を奪っている。
会計は「うわぁ~~実槻!!仕事とらないで!!あ、ダメダメダメダメ!それは俺がやるから!」
「比呂、ダメ!!それは僕がやるの!!!!あ!コラ!!」と、庶務。
比呂はそれら全てをスルーして、仕事をしている。
突然「体育祭の警備の配置は私に任せてもらえますか」なんて言い出しやがって。
チッ、……………心配だ。
***
実槻が珍しく物凄い仕事にやる気をだしている。
俺は会計だけど、仕事が減っていく。実槻が持っていくから。ありがたいけど、心底やめてほしいと思う。
心配だし、情けないし。
ついには体育祭前日、実槻が音を立ててヒートした。
机に突っ伏した実槻からシューーー、プスッ、プス、と音がしている気がする。
それを見て、俺達は「あ~~~ついに逝った」といった感じだ。
実槻のパソコンを見る限り、全ての仕事を終わらせて、ぶっ壊れたっぽい。
会長が隣の休憩室に運び、冷たいタオルを額において寝かしつけたけどなんとなくそれが「オカーーン」と叫びたくなる姿だった。
………当日、どうなることやら。
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