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第3話
「ここでする」
「……え?」
「見てて、先生」
「……ぇえっ!?」
大竹はままま待てと慌てたが、もうこっちは怒り心頭である。そっちがその気なら、こっちもその気だ!
設楽は大竹に見せつけるようにズボンのボタンを外すと、ゆっくりとズボンを膝まで下ろし、それから大竹の目を見つめながら下着をずらした。
「……うわっ……」
「先生さぁ、男好きになったのは俺が初めてだって言ってたじゃん?」
「お、おう……」
こんな間近に男の物を目にすることなど今まで無かったのだろう。いや、それ以前に、半勃ちとはいえ、勃ち上がった自分以外のブツを目の当たりにするのも初めてのようだ。それを見て良いものかいけないものか迷っているように、大竹の目がチラチラと視線を泳がせている。
「じゃあさ、これ見て萎えちゃったりする?」
「……いや……」
「じゃあ、先生のも、勃つ?」
「……」
ごくりと、大竹の喉仏が上下した。
大きな喉仏だ。
切れ上がった筋肉とか腕に走る血管フェチの設楽は、当然のように喉仏も大好物だ。もちろん、その喉仏の左右にあるくっきりと浮き出た首筋も、設楽を堪らなくさせる。
……あの首筋に舌を這わせて、喉仏を甘咬みしてごりごり転がしたい……。
酔った大竹を前にしていると、どうしようもなく興奮する。それはそうだ。手の届くところに、焦がれた男が転がっているのだから。
設楽も大竹と同じように唾を飲み込むと、それから唇の端をペロリと舐めた。
「先生がコレ見てその気になるかどうか、試してみようよ。……見てて」
大竹の前で、自分の下半身をゆるゆると扱く。大竹は固まったように、それでもじっと見つめていた。設楽のソレは、下から軽く扱き上げただけで、すぐに形を変えた。
大竹に見られていると思うと、それだけで胸がゾクゾクした。大竹が目の前にいるだけで、今自分のを育てているのが大竹の手であるような気がした。
「……先生っ」
「っ……」
大竹が、鼻にかかったような息を漏らした。大竹のズボンに目をやると、そこは大竹もちゃんと興奮していることを、設楽に教えてくれる。
「先生、先せ…っ、ね、先生も、やってよ」
「……何を……」
ぎこちなく大竹が返事を返すが、設楽が何を求めているのかなど、大竹に伝わっていないはずがなかった。その証拠に、大竹のズボンは、先程よりもはっきりとその形を示しているのだから。
「先生も、俺の前でやって見せて」
「……だから、卒業するまでは……」
「卒業するまでエッチはしないよ!だけど、見せっこ位良いでしょ?こき合いしようって言ってる訳じゃないんだし」
「こき合いとか見せっことか、都市伝説だろ……?周りでそんなことしたことある奴、見たことねぇぞ……?」
「いや、山中先生はしたことあるらしいよ?」
「それはあいつがゲイだからだろ?つうか、お前はこき合いとか言われて何とも思わないのか?相当イカレてると思うんだけど……」
「思わない!」
「……それは、お前もゲイだからか……?」
ゲイと言われても否定する気はもうない。多分最初から自分の性癖は同性に向いていたのだ。女と付き合っていた時期はあったが、それは向こうから言われて、流されて付き合っていただけだった。その時は彼女のことが可愛いと思っていたし、もちろん、体の欲求もあった。だが、彼女を抱いても、大竹を思って1人でマス掻いている時ほどの興奮すらなかった。
やっぱり、自分はゲイだったのだ。今後もし他の人を好きになるとしても、その対象はきっと年上の男性だろう。
でも、そんな人が現れるとは思えない。
だって、目の前に大竹が転がっているのだから。
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