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初夜
とくんとくんと鳴る胸。覆いかぶさった黒鵜様と手を繋いで指を絡めあう。
「朱華」
「こくうさま」
「朱華、朱華っ」
切羽詰った黒鵜様の声に僕は黒鵜様の胸に向けていた目を顔に向ける。そこには獰猛な肉食獣の様な雄の顔をした黒鵜様。
黒鵜様がそっと顔を近づけて頬に口付けを落とす。頬、鼻の頭に、瞼に。何度も落とされる雨の様な口付け。
僕もお礼に頬に口付けをするとくすりと笑われた。
僕の幼い口付けでは物足りないだろうか。
でも僕はどうしていいのか分からない。
学校で教わる性教育の授業は出ていたけど、詳細なことは見ないフリをしてたから詳しい事まで覚えてない。
僕と結婚してくれる人はいないと思ってたし、黒鵜様は好きだけど結ばれることはないと思ってたから……こんなことならきちんと授業を受けておくんだった。
「何を考えている?」
黒鵜様の不安そうな声にはっとして、思考を止める。
「他の男の事、か? それとも……」
「ち、違います! えと、ちゃんと性教育の授業を聞いておくんだった、と。僕、ちゃんと聞いてなかったからこの先どうすればいいか分からなくて……」
「俺に全て任せておけばいい」
真剣な黒鵜様の表情に僕はこくりと一つ頷いた。この人に全てを任せて身をゆだねておけばいいのだ。
***
「……あ、ぅん……んん…」
食いしばった歯の割れ目から黒鵜様の舌が僕の口腔に入ってくる。
啄ばむような口付けをしていたら行き成り唇を舐められ、驚いた僕がひゃぁとへんな声を出した途端に黒鵜様の舌が侵入してきた。
歯列を舐められ、舌で掻き混ぜられ、舌をずるずると吸われると僕の背筋にぞくぞくとするなんとも言えない痺れが走る。
ただただ黒鵜様に翻弄されるだけで、黒鵜様の背中にまわした手でしがみつく事しか出来ない。
息も出来ないまま、舌を犯されるのは、苦しい。
目の焦点が合わなくなって、朦朧としたところで黒鵜様がやっと唇を離してくれた。
「朱華、接吻は鼻で息をするんだ。止めていると窒息するぞ」
くすっと笑った黒鵜様がもう一回僕の唇を啄ばむと首筋に口付けを落としてくる。ぴりっとしたかと思ったらぺろんと舐められ、僕はまたあられもない声を出してしまった。
その事が恥ずかしくて声を出さないように手で押さえたら、黒鵜様に手を取られた。
「恥ずかしい事ではない。皆このようになる」
「黒鵜様も?」
「好きな相手にされたら、尚更だ。だから好きなだけ声を出せばいい」
そんなものなのか。
黒鵜様の顔が再び近づいてきて僕の唇を啄ばむ。小鳥の様につんつんと触れる黒鵜様の唇がくすぐったくて笑ってしまう。
「…ひゃん…ぁ…」
くすくすと笑っていたら思ってもいなかった所を触られて変な声が出た。着物の前を肌蹴て僕の胸の尖りを黒鵜様が指ではじくように引っかいた。
くりくりと撫で回され、指ではじかれるとびくんと体が勝手に揺れる。乳輪の周りをすすーっと円を描くように触れられるのが、なんだかもどかしい。
背筋がぞくぞくして、くすぐったいような寒いような、鳥肌が立つ。寒気なのか分からないけど、僕の乳首がぴんと尖って天を向いている。
「ぁ……ぁぁ……あ」
にやりと笑った黒鵜様が尖った乳首をペロッと舐めた。舌で転がされ、吸われるだけで頭の芯に何かが灯る。
黒鵜様の舌の合間からたまに見える僕の乳首はほんのりと色づき、朱色に染まっている。僕の瞳とは少し違う塗れて光る朱色の乳首、それが厭らしく見えて僕は顔を背けた。
勝手に浮いてしまう体を抱きしめる事も出来なくて、手に触れた布団をぎゅっと掴む。
力の入った手がソコに触れられて緩んだ。
「あ、あ、あ、ああっ! ああ」
起立した僕の陰茎を黒鵜様が撫でて緩く扱く。
いつの間にか脱がせたのか、はっとして顔を上げると着物の袖を通したまま帯が外されていた。
黒鵜様の手が陰茎の奥にある陰嚢を転がすように触ると僕の口から嬌声が零れた。その奥にある会陰をさわりと触られる。
始めは弱かった触り方も時間がたつにつれて強くなり、強弱をつけて揉まれる感じは何ともいいがたい。
お腹の、人には言えないところがずくずくと疼き、勝手に腰がゆれてしまうのを止められない。
「……ひぁ……あぅぅ……んぅ……」
会陰を撫でていた手を止め黒鵜様が激しく僕の陰茎を扱く。ずちゅずちゅと音がすることが恥ずかしい。僕の陰茎の先端から蜜が零れている。
会陰を刺激され、陰茎を扱かれ、たまに陰嚢を撫でられ、その快感だけで僕はどうにかなってしまいそうだ。
「……ああ……だめっ……で……ああああっ」
伸ばした手で黒鵜様の手を剥がすこともできずに僕は射精した。くたりとなった僕にかまわずに黒鵜様が僕のおなかを撫でる。
ぜーぜーと息を吐きながらそっと目を開けたら、指に纏わりついている僕の精液を黒鵜様が舐めていた。
「! や、やめてください! 汚いです!」
「何故だ? 朱華のものは何も汚いものはない」
きょとんと首を傾げる黒鵜様に、恥ずかしいからやめてくれなんて言えなくて、僕はじとっと黒鵜様を見るばかり。ぺろぺろと子犬の様に僕の出した体液を舐める黒鵜様は、言ってはいけないけど、まるで変態だ。
ちゅぽんと音をさせて指を舐め終わると黒鵜様が覆いかぶさってきた。
太ももに触れた硬いものに気づいた僕はそっと目だけを動かして見てみると、見事に立ち上がった黒鵜様の性器が目に入った。
雄雄しく猛るそれはまさに猛獣のそれだ。
これからアレが僕の中に入るのか。不安はあるけど、大丈夫。黒鵜様の分身だもの。
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