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第8話
新しい土地には直ぐに慣れた。
だが南のことが忘れられなくて転校して直ぐに多くの人に告白もされたけど恋人なんかは作る気はおこらなかった。
この時の俺は自分が同性愛者なことはまだ気が付いていなかった
告白され断るのも煩わしくなってきて極力人と話すことを避けるようになった。必要最低限の会話しかしない俺にいつしか声をかけてくれるものは減っていき俺は常に一人で行動するようになった。その方が楽だった
そんな中で俺を構い倒してきたのがこの人。
和水 剣聖(なごみ けんせい)先輩。
この人はあの当時生徒会長だった。
分け隔てなく全ての生徒と接し絶大な人気を誇っていた。
剣聖先輩が構ってくれたお陰で少しずつ傷は癒えまた笑えるようになった。俺の恩人だ。
先輩は俺が大人しいのは欲求不満だからではないかと持論を呈し俺に多くの女を紹介してくれた。
しかしながらやはり俺は誰とも付き合うことはなかった。
だって女は可愛いとは思うけれどそれ以上の思いは持てなかったから。この頃からもう俺は同性しか愛せない人間になっていたのだろう。それでもまだ気が付いていなかったけど
どんなに紹介されても誰とも進展しなかったお陰で硬派だとかなんだとか言われていたけれど俺も男、溜まるものは溜まる
自慰によって欲を発散しようとしていたが女が出ているものではどうにも反応しなくて。困り果てていたときにたまたま先輩の家で見付け無理矢理見せられたゲイビで不能だったものが反応を示した。
そんなことがありあぁ俺はゲイだったんだと認識したのだ
その後好きになるのは南とは全く違う俺よりも年上の大人の男ばかり。
誘われるままに何度かベッドを共にしたこともあった。
そんな生活をしながら大学を出て就職した先で出会ったのがあの上司だった。
朗らかで皆平等。叱るべき時はしっかり叱ってくれるし誉めるときはわざとらしいくらい誉めてくれる
彼はとても面倒見も良くて仕事でミスをし落ち込んでたりしたら飲みに誘ってくれて相談も聞いてくれて…そんな人だから好きになるのはあっという間だった。
でも家庭がある人だったから最初から諦めてはいてだからいい部下であろうと仕事に邁進してお陰で今の地位を築けた。
仕事ができる優秀な奴だと皆に言われる俺を作ったのはどう考えても上司。
そうなれるよう人と慣れさせてくれたのが剣聖先輩。
今の俺をつくりだしたのはこの二人だと言っても過言ではない
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