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第22話
「いや。別に」
「朱夏さんはねぇ嘘つくときね一回目を伏せる癖があるんすよ」
「は?」
「ふふ…どうしたの?そんなに悩んで。なぁんて…俺たちが困らせちゃってるんだよね?」
「…」
「あのね。朱夏さん。俺あなたのことが好きです。仕事に真面目なところやみんなに優しいとこは勿論なんですけど…一番はあなたが俺を見てくれたからです」
「どういうこと?」
「あのね、俺Rの息子でしょ?だから料理はできて当たり前のことしか言われたことなかったんです。でもあなたは俺自身を誉めてくれた。それが凄く嬉しかった。初めてだったんです。Rの息子の久米 瑠樹愛じゃなくて一人の人間としての久米 瑠樹愛を見てくれたこと。それだけじゃなくて仕事でも少しの成功だったとしても自分のことみたいに喜んでくれた。朱夏さんに誉められたくて俺必死で仕事してるんです。俺だけじゃなくて同期たちも成績悪くて上に詰められても朱夏さんだけは一人一人のいいとこ見つけて誉めてくれるから誰一人辞めないで今も頑張れてるんです。朱夏さんがいなかったらきっと俺も含めてみんな辞めちゃってる。朱夏さんは人にいい影響を与えられるとっても特別な存在なんです」
そんな風に真面目に話すのはあまり見たことなくて思わず黙りこんでしまった
「朱夏さん?」
「あ…ごめん。そう言ってもらえるとは思ってなかったから…」
「そんなすこーしだけ抜けてる朱夏さんも大好きです。朱夏さん。あなたには今も思っている相手がいるのかもしれない。でもねその人のためにも誰かを好きになってみませんか?」
「偉そう…」
「ふふっ。ありがとうございます」
「だから誉めてないって」
「朱夏さん…」
声のトーンを落とす久米はやはり綺麗で魅入ってしまう…
ぼーっと見詰めてたら唇が重なり抱き締める腕は思ったより力強くて身を委ねた…
「朱夏さん…照れてる?」
「うっさい…」
「大好きです。困らせてごめんなさい…でも…誰にも渡したくないんです…もちろん剣聖さんにも…」
…ごめんね…久米。俺凄くずるいみたい…どちらとも離れたくないんだ…
俺は誰かを愛せるのかな?
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