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第23話

剣聖side 「朱夏…」 熱めのシャワーを頭からかけながら名を呼ぶ。 ねぇ。朱夏…お前の相手はどんな人だった?お前にとってどのくらい大切な人だった? 俺ではお前を支えられない?俺じゃダメかな? 久米がいい?それとも…多分朱夏はレイプされた以来後ろを使ったのは初めてだった気がする。長いこと使われてなくて固く閉ざされた場所を抉じ開けるのは結構大変だったから …とろとろになって俺を求めてくれた朱夏…知らなかった朱夏の姿は俺の心をもっと熱くした。 好きだけじゃ足りないこの思いは… でもきっとここまでの思いがあることを朱夏はきっと知らない。知ってしまえばきっと逃げてしまう。 朱夏は多分怖いのだと思う。手に入れたら失いそうで… 愛した相手はもう亡くなってしまっていないから。南という可愛い名前の男か女かわからなかった相手。でもその人は多分男。同い年の幼馴染みだった人。 もう少し調べてみようか?調べたとき既にその人の身内は誰もいなくてどんな人だったのかわからない。 朱夏の両親なら知っている?中学時代以来会っていない美しい両親の顔を思い浮かべるけれど過去の人のことを調べたところで何が変わる?知らない方がいい? これからは作れる。だったら俺は… 朱夏を只管に愛し居なくならないことを示していくだけ… 「朱夏…愛してる…」 中学の夏休み明けにやって来た噂の美人転校生。どんな人なのか興味本位で見に行った。 初めて会ったときの壊れそうな硝子細工のように綺麗なあいつに一目惚れした。人を寄せ付けない頑なな態度を溶かしてやりたいと近付いた。 振り向いて欲しくて笑って欲しくてしつこく声をかけ続けてやっと笑顔を見られたときの感動は今でも覚えてる。一際高鳴った鼓動のことも。 好きで好きで…男も女も見境なく抱いてきたけれど朱夏だけはそれもできなくて。朱夏に相手が出きれば気持ちも収まるだろうかと幾人も女を紹介したけれど朱夏は誰ともくっつかなかった。 転校してきた理由と何か関係があるのか?そのときから調べ始めて見付けた幼馴染みのこと。きっとその人のことが朱夏は好きで…今でもきっと…そう思うと苦しくて…結局いろんなやつらと関係を持つというこのだらしなさは治せなかった ずっと秘めた思いを持ったまま他の人で発散させて…考えてみると本当に最低だと思うけれど始めたものは終わらせることも出来なかった。 そうして仕事まで一緒になって部署まで一緒となると…姿を見るたび熱くなる自分を納めるためにはやはり他の人で… そんな中出会った瑠樹愛。同じ男を愛する相手… 取られたくなかった…だから瑠樹愛をセフレにした。見張るためにルームシェアも始めた。 朱夏はきっと本当は抱きたい方。だから瑠樹愛が怖かった。 下半身は緩いけど他は完璧な瑠樹愛。俺の出会った中で朱夏の次に美しい男。 こいつを俺に夢中にさせれば…そんな思いで始めた関係。 でも瑠樹愛は俺に屈しなかった。初めてのことだ。 瑠樹愛の気持ちは俺と変わらないくらい強い。 瑠樹愛が怖い。俺じゃなきゃ満足出来ない体になればいいのに… そしたら…いや…瑠樹愛は俺には絶対に靡かないな…やはり怖い相手… ねぇ。朱夏…俺を選んでよ…

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