41 / 120

第41話

「帰り一緒でしたね」 こいつは緑川。里中と同期でよきライバルでもある。 堀の深いイケメンなのだがすごいのは王族の血が入ってるということ 実は同じマンションなのは知っていた。俺がここに住み始めて間もないとき話したからだ このマンションの最上階のワンフロア全てこいつの持ち物。元々日本好きの父親がこのマンションといくつかの不動産を持っていて言わばこいつは御曹司。なのに日本の企業にいる理由は緑川は10人兄弟の末息子で王族継承順位はそんなに高くなく日本好きの父に日本で働いて色々送って欲しいとのお達しが出てるからみたいだ。 緑川の母親は日本人。父親が外交でこちらに来たとき見初められたそうで今は外交官として働いているので世界中飛びまわっているらしい。 根っからのキャリアウーマンの母親は王の力を存分に利用して産んで直ぐ仕事復帰している。 こいつの生まれた王室では産んで直ぐ世話係の人がついて母親は育児に全く参加しないのは当然のことだそうだ。今でこそ世話人はついていないが高校時代まではそういう人と暮らしていた。 「里中方向逆なのにわざわざここまで来たってどういうこと?やっぱ下心あるんじゃん」 「違う!断じて違う!ただ今日のチーフ危うかったから」 「お前が一番危ない。チーフ気を付けた方がいいすよ?こいつこの間の飲み会でヘロヘロに酔ってもたれ掛かってすり寄って甘えるチーフのこと見て…満更でもなさそうだったんで。まぁわからなくもないですけどね。チーフすっげぇ可愛かったし。あの日お持ち帰りされなかったの奇跡ですね」 「え!?甘え…え?…」 「あ。画像ありますよ?見ます?」 「は?」 そして再生された動画には複数のカメラを構えた同僚たちそして誰かにもたれ掛かってスリスリと頬を寄せ相手を抱き締めている俺が映ってた。多分涙でも流したのだろうアップの画像には情事後のような潤んだ赤い瞳の俺。その頬には涙の跡があった… 「ちょ…これ消せよ!」 「消してもいいけど俺だけじゃないすからね。撮ってんの」 「あ…」 「可愛すぎて危うく勃起しそうでした。やっぱ美人ですよね。前から思ってたけど仕事中全く隙ないから近寄りがたかったけどあの姿見たら…ね?里中の気持ちもよーくわかる。こっからは俺が引き受けるよ。同じマンションだからね。じゃあねー里中」 「ちょ!おい!緑川!」 言うが早く緑川は里中の隣に呆然と立っていた俺を自分のもとに抱き寄せた。 呆然としていたので直ぐに反応ができず緑川の胸に収まってしまった 「…っ…可愛い」 耳元で緑川は囁くとこめかみに唇を落とした 「お前!何やってんだよ!」 「可愛くてついな」 「ちょっ!何すんだよ!緑川」 「チーフが無防備だからですよ。俺にしません?」 「は?」 「だから俺にしましょ?」 「お前なに…」 「だめだ!チーフ!俺チーフのこと好きです!俺と付き合ってください」 「は?え?」 「お前より俺の方が幸せにできる!」 勝手に俺のことで言い争う二人…意味がわからない… 「お前ら!落ち着け!な?」 「「嫌です!!」」 えぇ…誰かさんたちを見てるみたいだ… 「はいはぁい!そこまでですよぉ。勝手に俺の朱夏に言い寄ってんなよな」

ともだちにシェアしよう!