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第46話

剣聖side 「先輩…すいません」 部屋に入るなり謝罪する朱夏。そんなことされると苦しい…あれが嘘だってことを嫌でも認めないとなら無い。わかってるのに…こんなに…苦しい… 「…いや…あれが里中たちの為でも…そのときだけの偽りでも嬉しかった…少しだけ…抱き締めさせて…」 これは本音…泣きそうな顔バレたかな…朱夏…お前の前ではいつもヘラヘラしてたいのにな… 「朱夏…心配しすぎて死ぬかと思った…何もされなかったか?」 「大丈夫です。里中は送ってくれただけだし緑川はそこでばったり会っただけで…あ…こめかみにキスされたけどそれだけです」 わかってる。あいつらは何もしてないのはあの場にいればわかった… 緑川…あいつスマートにそういうのこなせるから心配だったんだ… こめかみだけで良かった…緑川が唇を落とした場所へキスをする。 「上書き」 そんなの言い訳で俺が朱夏に触れたかっただけ 「先輩…ごめんなさい。気を付けてって言われてたのに…」 お前に触れたい…俺以外にさわらせたくない…そんな思いしか抱いていないのにお前は俺に謝る。自分を責める…お前は悪くなんて無い。俺が我が儘になってしまっただけ… 「いや。今度から気を付けろよ。…とはいえ…お前が一番注意すべき相手は…俺だけどな」 朱夏の泣きそうな顔を見たら床に押し倒してしまっていた。痛くないように後頭部と背中に手を添えて 「朱夏。あの言葉本当だから。もう他の奴は切った。瑠樹愛とはまだ話せてないけどね」 少しでも俺の本気が伝わればいい…瑠樹愛もきっと今までの相手と手を切る。 瑠樹愛より先にお前の目に入りたい… 「…俺は…気持ちには答えられない…」 なのに…お前は…そんな言葉を俺に告げる…考えるって言ってくれたのに…今日はもう違う…でもそれで朱夏を責めるのは違う…これまでただの先輩だった俺。優秀な部下だと信頼を寄せてた瑠樹愛。そして周りの連中からの今までとは視線…戸惑うのも当然だし不安にもなるだろう。だったら俺は理解のある男を演じるしかない…辛いけど朱夏のためには…それが一番いいのだろう… 「うん。わかってる。でも…俺のできることはそれくらいだから。これからちゃんとお前に振り向いてもらえるように…頑張るから…」 「先輩…だめです。やっぱりだめです。今の距離がいい…それじゃダメですか?」 どんなに努力しても無駄ってこと?そんな簡単に諦められる思いではない。 「…っ…」 「ごめんなさい…」 朱夏…お前にそんな顔して欲しくないのに… 「言っただろ?長年思ってたんだからいくらでも待てるし我慢も出来るよ。このままがいいならそれでもいい。お前が俺の側にいてくれるならそれでいいよ。ごめんな」 本当は嫌だ…変わりたい…変えたい…でも…仕方ないのかな? 苦しい…今はもう顔見らんない…そっと朱夏を起こした 「痛いとこない?」 「大丈夫です。お茶でも淹れますね」 これ以上ここにいたら無理矢理組み敷いて嫌がる朱夏を犯してしまいかねない…だから… 「いや。大丈夫。今日は帰るよ。じゃあな。ちゃんと戸締まりしろよ?」 「はい」 「あ!朱夏。お前が困ったとき俺利用していいからな。里中と緑川は大丈夫だと思うけどまだ他にもお前狙ってる奴いるんだから」 ねぇ…朱夏…俺を…せめて…利用して…都合のいい相手でいいから… 「ありがとうございます」 「んじゃ。お疲れ」 柔らかい朱夏の髪を撫で背を向けた

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