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第47話
翌朝。勿論のことだけどここに先輩も久米もいない。
「…寂しいな…」
昨日の二人のこと。久米と先輩の二人はどうなるのか?昨日は先輩を傷つけたであろうこと…色々考えるとあまり食欲も無くてコーヒーを一杯とパンを一噛りしていつもの道を歩く。
「おはようございます」
「おはよう。緑川」
「今日は早めですね。」
「あぁ。」
「ねぇ。チーフ」
「何だ?」
「本当に和水さんと付き合ってるんですか?」
「だから何?」
「…チーフ」
突然路地に連れ込まれる
「ちょ…何すんだ…」
「それでもいいです。やっぱり俺は諦められない」
壁に押し付けられればどうすることも出来ない。対格差が抵抗すらさせてくれない
「緑川」
「…っ…すいません…俺…ずっとあなたのことが好きで…」
「は?」
そんな素振りなんてこれまでなかった
「ねぇチーフ。初めて会った日覚えてます?」
覚えてる。契約した時に会ってる。手続きに来たときあまりにもオーナーが若すぎると驚いたのだ
「だいたい契約する時って沖がやってくれるんです。でもその日は沖が別の契約入ってて俺が来たでしょう?」
「あぁ」
「あのときのチーフの驚いた顔見てなんてかわいい人だって思って…一目惚れだったんです。何気ない会話できることが嬉しかった…姿を見つけるだけで心が踊った。でもあの頃の俺は父の金を使って遊び呆けていて貴方とは釣り合うわけもなかった。一生働かないで遊びまくろうと思ってた俺が隣にたってはいけないって思った。だからその後必死で勉強した。あなたの会社に入れるように。それまでまともに勉強してなかったから大学入るのもその後成績を落とさないようにするのも死に物狂いでした。この会社に入れたときはほっとしたんです。やっとスタートラインに立てたと。あなたと並ぶ準備ができたと…でも…あなたも知っての通り仕事はうまくいかなくてその度あなたに助けられて少しでもいいとこ見つけたら誉めてくれて…もっともっとあなたを好きになった」
「…悪いけどお前の気持ちに答えることは出来ない。俺は剣聖先輩のことが好きだ。どうしようもなく。だから諦めてくれ」
「嘘ですよね?」
「何故そう思う?」
「見ていたらわかります。」
「どういう理屈だよ。」
「好きだからわかるんです。あの人のことそういった意味での好意じゃないこと。だって財前部長のこと好きだったでしょ?あれは酔った勢いで出た本音です。」
財前部長…事の発端になったあの人。好きだった…どうしようもなく…
「部長をを見ていたときのチーフとあの人をみるときのチーフの視線は全く別物ですから。それは恋愛感情の好意ではない。単純に友人としての好意。だから諦めませんから」
「…」
「すいません。朝から…じゃあ行きましょう」
どうすればいいんだよ…どうすれば…緑川に手を引かれ歩き出す
「緑川…手を離してくれ…」
「もう少しだけ…ここは人通りこの時間は少ない。だから離しません」
「痛いから。離してくれ…」
そう言うと渋々だが解放してくれた。
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