「おはようございます。チーフ」 「里中。おはよう」 「昨日はすいませんでした…チーフがあの人を…和水さんをそんなに好きだなんて…なのに俺…」 「里中。その話しはまた。就業時間だ。デスクに戻りなさい」 「はい」 里中は素直でまっすぐな奴。俺のことを信じた…里中はもう大丈夫だろう… 「白木さーん！」 「久米。こっちに何の用だ？」 「書類持って来たんです。」 「ありがとう。」 「朱夏さん。お昼御一緒しましょ。昨日のとこでお弁当持って待ってますね！剣聖さんにも伝えておくので。んじゃまたあとで」 俺にだけ聞こえる声でそう伝えて久米は戻っていった。 営業部には一課と二課があってフロアは同じで仕切りもない。それ故なのか変な確執は多くない。まぁ。数人癖の悪い奴はいるのだが… 俺は営業一課で剣聖先輩は二課の課長兼教育係。久米は二課の所属。里中と緑川は一課。 毎日多くの仕事をそれぞれが抱えていてうちは基本的に残業はさせないスタイルなので就業時間は雑談などする余裕は勿論無いのだ。 いつものように昼休みになりこの時期はあまり人気の無い屋上へ向かった。 屋上にはベンチがいくつか置いてあってその中でも一番奥の建物の影になっている場所へ向かう。 まだ二人の姿はなく変な視線から漸く逃れ息を吐いた… 疲れた…仕事が立て込んでいるのもあるが感じる視線の多さに精神的に参っている 「お疲れです」 「新戸部？どうした？何かあったか？」 こいつはあまり得意ではない。外面はとてもよく成績もいいのだが新人いびりが異常だ。彼なりの教育なのだろうがそれで参ってしまう者も多い。 如何せん成績が良いので誰も何も言えないのだ 「チーフ…何か色っぽくなりましたよね」 「は？」 言うが早く手を取られる。そして非常階段へ連れ出された