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第58話
剣聖side
「朱夏…」
トントン
控えめにノックして瑠樹愛が顔を覗かせた
「朱夏寝てる」
「そうですか」
音をたてず急いでこちらにやって来た瑠樹愛がそっと朱夏を撫でた
「朱夏さん。ごめんね。辛かったね」
「なぁ。瑠樹愛」
「なに?」
「朱夏さ俺らのことで悩んでると思う」
「いや。そんなのわかってんじゃん!急に告白されたらそうなるっしょ」
「違くて…俺とお前の仲が自分のせいで壊れるんじゃないかって…」
「へ?」
「朱夏には俺たちが特別な関係に見えてるらしい。恋人的な感じなのかも」
「は?俺たちの気持ち伝えているのに?」
「自分がいるせいで俺たちの関係がおかしくなったって。自分の性癖をうまく隠していたら俺たちの仲が変わることがなかったって何か良くわかんねぇけど悩んでる」
「ん~…もしかして俺が剣聖さんのこと好きだと思われてるとか?」
「それもあるかもしんねぇしまた逆も然りかな…こんなになるまで悩ませるつもりなんて無かったのに…」
「…そうですね。じゃあ。剣聖さん諦めてくださいよ。俺のこと好きになってもらえば良くナイスか?剣聖さんはモテるし朱夏さんじゃなくてもいいでしょ?」
「は?」
「朱夏さんを下さい。俺は朱夏さんじゃなきゃだめだから」
「朱夏はものじゃねぇ。」
「そんなの当たり前でしょ。ものではない。それでも俺は朱夏さんの全部が欲しい。朱夏さんじゃなきゃ息できない。朱夏さんさえいればいい」
「瑠樹愛。お前のその気持ちってさ俺とは違うんじゃね?」
「そうでしょうね。俺の方が朱夏さんを思ってるんだから」
「お前を認めたのがたまたま朱夏でもしそれが朱夏じゃなければそいつを好きになってたんだろ」
「あくまでもきっかけにしか過ぎませんから。認めてくれたのが朱夏さんでも違くても俺は朱夏さんを好きになってた。これは必然です」
「ん…」
「朱夏!目覚めたか?大丈夫か?」
「先輩?」
「お前倒れたんだ。今日は入院だって」
「そっか…ごめんね…迷惑かけて」
瑠樹愛との話しは朱夏が目を覚ましたことで一旦途切れた。その後は面会時間が終わるまで朱夏の側にいた
朱夏。お前を苦しめているなら俺は引いた方がいい?瑠樹愛とうまくいったがいい?
…そんなん…俺に耐えられる?…いやだ…無理だ…
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