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第59話

瑠樹愛side 朱夏さんが倒れたと聞いて病院に駆けつけた。 時折苦しそうにしながら眠る朱夏さんに触れる 俺が触れると朱夏さんはもっと眉間にシワを寄せた… どうして? 「朱夏さん。ごめんね。辛かったね」 「なぁ。瑠樹愛」 「なに?」 「朱夏さ俺らのことで悩んでると思う」 それはそうだろう。突然告げられた想いに戸惑わないはずないんだから 「いや。そんなのわかってんじゃん!急に告白されたらそうなるっしょ」 「違くて…俺とお前の仲が自分のせいで壊れるんじゃないかって…」 「へ?」 「朱夏には俺たちが特別な関係に見えてるらしい。恋人的な感じなのかも」 それは予想外だ。剣聖さんとはあくまで割りきった関係なのだから。 「は?俺たちの気持ち伝えているのに?」 「自分がいるせいで俺たちの関係がおかしくなったって。自分の性癖をうまく隠していたら俺たちの仲が変わることがなかったって何か良くわかんねぇけど悩んでる」 「ん~…もしかして俺が剣聖さんのこと好きだと思われてるとか?」 まぁ…一緒に住もうと誘ったのも俺だし現に剣聖さんに先に迫るのも俺だし…でもさ。違うよ?俺より長く付き合ってる剣聖さんが羨ましいだけ 「それもあるかもしんねぇしまた逆も然りかな…こんなになるまで悩ませるつもりなんて無かったのに…」 だったら…剣聖さんが朱夏さんを諦めるって言ってくれたらいい。剣聖さんが俺を朱夏さんにプレゼンしたらいいと思う。この人その能力長けてるから。だから 「…そうですね。じゃあ。剣聖さん諦めてくださいよ。俺のこと好きになってもらえば良くないすか?剣聖さんはモテるし朱夏さんじゃなくてもいいでしょ?」 「は?」 そうだよ。剣聖さんは朱夏さんじゃないといけないって気持ちは俺より劣ってるでしょ? 「朱夏さんを下さい。俺は朱夏さんじゃなきゃだめだから」 「朱夏はものじゃねぇ。」 「そんなの当たり前でしょ。ものではない。それでも俺は朱夏さんの全部が欲しい。朱夏さんじゃなきゃ息できない。朱夏さんさえいればいい」 「瑠樹愛。お前のその気持ちってさ俺とは違うんじゃね?」 「そうでしょうね。俺の方が朱夏さんを思ってるんだから」 「お前を認めたのがたまたま朱夏でもしそれが朱夏じゃなければそいつを好きになってたんだろ」 「あくまでもきっかけにしか過ぎませんから。認めてくれたのが朱夏さんでも違くても俺は朱夏さんを好きになってた。これは必然です」 「ん…」 その時、朱夏さんがゆっくりと目を開けた。剣聖さんが急いで朱夏さんの手を取る 「朱夏!目覚めたか?大丈夫か?」 「先輩?」 「お前倒れたんだ。今日は入院だって」 「そっか…ごめんね…迷惑かけて」 朱夏さん?俺もいるよ?どうして俺を見ないの?剣聖さんだけ見てるの? …おかしいよ。朱夏さん…どろどろどろ…胸の中を蠢く何かが気持ち悪い… 俺のなのに…朱夏さんは…俺のなのに…

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