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第66話

次に目を覚ますと先輩が見つめてた 「あ…また寝てた…ごめんなさい…」 「いや。大丈夫だよ。」 「久米は?」 「さっき連絡あった。大丈夫だっていってたよ。友達のとこに泊まるって」 「そっか…俺…あいつに何か…」 「…南って呼んでた」 「っ…南…」 「例の人?」 「…はい。そうです…久米は…俺があいつ自身を見ていないからって…」 「…」 「夢見てて…雰囲気が似てるんです…」 「…そう」 あの頃のことを初めて誰かに話す。何が起こってどんな理由があってこうなってしまって今に至るのか… 「久米は…自分を見て欲しいのに…俺…」 「不可抗力だ。瑠樹愛のことだ。明日にはけろっとしてるよ」 「そうだといいけど…」 「また明日連絡してみようか」 「はい」 「折角瑠樹愛が飯用意してくれてるし食うか。食えそう?」 今日の料理もバランスを良く考えられた内容だった。俺の体調に合わせたもの。先輩のために作られたもの… 人によって内容変えるのも面倒だろうに…こんなに思ってくれてる… 誰よりも自分を見てもらいたいと言う人間を他人と間違うなんて…どれだけ傷付けたろう…

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