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第72話

剣聖side 朱夏が瑠樹愛に連絡すると言うから少し離れて聞いてた。 話していると真剣な表情でゆっくりと話していたはずの朱夏が頬を染めた 何事かと電話を切ったあと朱夏に問うと瑠樹愛は大丈夫そうだ。 メッセージだけ瑠樹愛に送るとすぐに返事が来た。 写真つきで。隣に写ってるのは俺の思っていた通りの人。飛弦さんだった。それを見て俺まで嬉しくなる きっと空雅が引き合わせたんだろうな… 空雅とは何度か飛弦さんのバーで会ったことがあったのだがベッドを共にしたことはなく一緒に飲むだけの仲だった。 空雅の現在の恋人は俺の大学時代の友人の幼馴染みだと言うことをたまたま仕事で訪れていた会社で知り今は仲良くやっていると聞いていた。 そんな彼と飛弦さんは実は深い繋がりがある。今は亡き飛弦さんの弟の元恋人が他でもない彼なのだから いつも冷静で誰にでも優しい飛弦さん。彼のためにあの店は作られたと言っても過言ではないと思う 飛弦さんは見た目も綺麗だから客から誘われることも多かったが絶対に首を縦には振らなかった。 絶対に客とは一線は超えないと決めていたようだ その飛弦さんがあるときから同じ客を他とは違う顔で見てるのに気づいた。 良く見る若い男。名前は知らない。ただこの店で出会う綺麗な子の中でも群を抜いていた内の一人。その子が男と出ていく後ろ姿を苦しそうに悔しそうに見詰めていたのに気付いてた。 その相手が瑠樹愛だったと知ったのはもう少し後のこと。 暫く飛弦さんの店ではなく別の店に行っていて女を漁ってたんだけど久しぶりに男を引っ掻けようと思い飛弦さんの店へ行ったら初めてその綺麗な男と目があった。この顔…良く見たらどっかで…この店じゃない…どこかで会ったことがあるような気がしたけど…はっきりとはわからなくて 「美人さん見っけ…ん?どこかで会ったことある?」 そう問うと彼は本当にわからないと言うみたいに首をかしげてた。可愛いけど俺のタイプではない。 「さぁ?どうだろう?」 「んんっ?まぁいっかぁ!」 その日の会話はそれだけ。その後お互い別の相手を見つけて別れた 数日後、会社で瑠樹愛を見たときは驚いた。どこかで見覚えがあると思っていたのだがそれが新入社員研修の時だったのだろう。 まさか自分の部下になり体の関係を持ち同じ人を好きになって同居までするなんて思ってなかった。同居して瑠樹愛のいいところも悪いところも見えてきた。弟みたいに可愛い存在になった。 瑠樹愛は根はいいやつだ。ちょっと…いや…大分変わってるけど…瑠樹愛には幸せになってもらいたい。もっと自分を認めて欲しい。 瑠樹愛を名前ではなく一人の人として見た朱夏に惚れたと言っていた瑠樹愛。でも明かされた過去の人と重ねて見ていたという真実。瑠樹愛は朱夏とは幸せになれない… だから…少しずつでいい。飛弦さんと共に歩く道を選んでくれるといい…

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