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第86話

部屋に戻ると宇野さんが話し始める。 「私たちは数ヵ月前から潜入捜査をしていました。男性への強姦事件が続いていたからです」 先輩が顔を歪めた。俺が何をされたのか察してはいたもののハッキリとわかったからだろう。 「私はここの清掃員として潜入していました。あの時間は浴場の清掃時間なんです。おそらく男たちはその事を失念していた。ここの旅館だけ他の所とは違い唯一、一時間早く始まるのです。そして二人を現行犯で逮捕することができた」 犯行時間、場所もバラバラでなかなか特定することは出来なくて困難を極めていたらしい。 「難航したのには他にも理由があります。被害者があまり男たちの特徴を話していないからです。それと被害者が揃えて言うのです。同意だったのだ…と。だから悪くないと…しかし被害者のパートナーたちにとってみたらそんなの許せません。だから今回の潜入捜査に踏み切ったのです」 その理由は俺には何となくだけどわかる気がする。 「おそらくですけど…あの人たちは始めはとても酷いことをするんです。しかし後から甘くなるんです。優しくて気遣いもしてくれて…だから絆されてしまうのではないでしょうか?実際私も絆されかけましたから」 その言葉に先輩が息を飲むのがわかった。 「あの人たちには何か理由があってこんなことをしているのだと思うんです。何か深い事情があるんじゃないか…と…私にはそれは解りかねますが」 「わかりました…ありがとうございます」 「ここまででいいですか?休ませたいので」 「はい。では失礼します」 宇野さんを見送ると先輩が俺を脱がせた 「先輩?何?」 「風呂。いれてやる」 「ありがとう。でも大丈夫。触らないで…先輩が汚れちゃう」 「うるせーおとなしく従え」 そう言うと先輩が俺を抱き上げた 部屋の露天風呂に入れられて先輩も服を脱いだ 「朱夏。おいで」 先輩の表情が良く見えない。でもすこしイラついているのはわかった。これ以上怒らせてはいけない。そう思い先輩に従った

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