87 / 120

第87話

先輩は丁寧に中も外も洗ってくれた。苦しそうに顔を歪めながら 「せんぱ…あっん…」 「そんな可愛い声そいつらに聞かせたの?」 「タオルで口塞がれてたから…あぁっ…」 「そう」 触り方が次第に官能的になってくる。さっきイキ損ねたからもう達してしまいそう 「イっていいよ。朱夏」 先輩に促されて欲を吐き出した 「朱夏の中、俺ので消毒していい?」 「うんっ…いいよ…きて…先輩」 「朱夏…ごめん。おしまい!よっし。浴衣着替えよ。もう一組あったから」 「先輩…」 「今無理矢理ヤられたばかりのお前にできねぇよ。ほら。おいで」 先輩の大きな胸に飛び込んだ。 「先輩…先輩…」 涙がボロボロとこぼれ落ちた 「うん…大丈夫だよ。俺がいるから…大丈夫…」 先輩は子供をあやすように俺の背中を撫でてくれた 「落ち着いた?」 「はい…ごめんなさい」 落ち着いた頃には夜も開けていた。 「目。少し腫れぼったくなってるね。何か冷やすもの持ってきてもらうように連絡する」 「はい…」 「寝てもいいぜ」 「んん…起きてる…」 先輩から離れたくなくて背中にずっとくっついてた 「直ぐに持ってきてくれるんだって」 暫くして女将が持ってきてくれた 「大変申し訳ございませんでした…」 事情が事情なので宿の人の限られた人には何があったのか説明するということを宇野さんに聞いてたからおそらく女将は何があったか知っているはずだ。 女将は何も悪くない。悪いはず無い。だってあいつらは本当に普通の客だったのだから。 思い出してみたら俺たちのチェックインの時俺らのすぐ後に来た奴等だということに気がついた。若いわりに凄く感じ良かったのを微かに覚えてた。あのときは話し方にしても格好にしても好青年にしか見えなかったのだ 「女将さん。大丈夫です。私は男です。傷はすぐに癒えますから」 それでも女将は申し訳なさそうに頭を下げていた。 「あの。和水様。白木様。このお部屋は明日、明後日共に予約は入っておりません。お二人のご都合がよろしいのであればどうかお体を休めるのに使ってください。勿論本日、明日の宿泊費は頂きません」 「いいえ。宿泊費は払わせてください。そちらには何の落ち度もないのですから。ただ本日は引き続き宿泊させていただいても構いませんか?こいつを休ませたいので」 「えぇ。構いません。直ぐに清掃させます。その間別室をご用意させていただきます。普段から立ち寄り入浴の方に使っていただいている場所で清掃は終えておりますので」 通された部屋でゆっくり待つ。まだ立ち寄り入浴の時間になっていないから人は後数時間誰も来ないそうだ 先輩から離れられなくてずっと手を繋いでた。部屋に入り備え付けの畳張りのソファに腰掛け先輩の肩を借りた 先輩は俺を撫でながら手を握ってくれていた 「朱夏…ごめんな…俺が寝てたから」 「ううん。先輩を起こさないように出ていったのは俺だから…」 「何であんな時間に出たんだ?」 「うん。あの時間に目が覚めたら喉乾いちゃって自販機に行ってたの。そしたら…」 「それで…あそこに買ったばかりのペットボトルが二本転がってたんだな。俺の分も用意してくれたんだね。ありがとう」 「…ごめんね。こんなことになっちゃって…」 「お前は何も悪くねぇよ。どんな理由があってもやった奴が悪い」 「でも…また汚されちゃった…もう先輩のとこにいられないね」 「は?何いってんの?関係ねぇよ。俺はお前の隣を誰にも譲る気はないからな。どんな関係であったとしてもだ。お前が前のままがいいならそうするしそこに体関係もいれたいならそうするし恋人にしろって言うならするし伴侶にしろって言うならするし」 「先輩」 「…わかってるよ。お前が俺にどういう立場でいて欲しいのか。そのままでいいよ。特別な感情はいらないよ」 やっぱり先輩は優しい…また彼を苦しめてる…わかってるけどまだ…こうして…ここにいさせて…

ともだちにシェアしよう!