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第89話

剣聖side 話を聞く内容からすると朱夏は二人組に無理矢理… 数日前に新渡戸に襲われたばかりなのに… 悔しい…俺が朱夏が抜け出したことに気が付いていれば… たらればなんて意味はないことはわかってるけど…そう思わずにはいられない 話が進んでいく中、これまでそいつらがどうしてなかなか捕まらなかったからという話になり、朱夏の発言に途轍もない怒りが込み上げる 「おそらくですけど…あの人たちは始めはとても酷いことをするんです。しかし後から甘くなるんです。優しくて気遣いもしてくれて…だから絆されてしまうのではないでしょうか?実際私も絆されかけましたから」 絆されかけた?…俺と瑠樹亜にされたときみたいに? 「あの人たちには何か理由があってこんなことをしているのだと思うんです。何か深い事情があるんじゃないか…と…私にはそれは解りかねますが」 「わかりました…ありがとうございます」 「ここまででいいですか?休ませたいので」 「はい。では失礼します」 宇野さんを見送り朱夏の浴衣を脱がせる。体には男たちがつけた紅い印…こんな所有印まで付けられて絆されかけた?つい苛立ってしまいおそらく今俺は嫉妬に狂った酷い顔をしているだろう 「先輩?何?」 不安の色を浮かべた瞳で上目使いに見られるけれどなかなか怒りは収まらない… 「風呂。いれてやる」 「ありがとう。でも大丈夫。触らないで…先輩が汚れちゃう」 そんなに俺に触られるのが嫌なのか?そんなにそいつらがよかったのか?無理矢理されたのに?好きになった? 「うるせーおとなしく従え」 こんなに乱暴な物言いなんて朱夏にたいしてこれまでしたことはない… 俺に怯えてる朱夏を見たのも初めてだ… くそ…怖がらせたくないのに…どうしても気持ちのコントロールがうまくいかない…朱夏を抱き上げ脱衣場へ運び先に浴室へ通す。浴衣を脱ぎながら呼吸を整える…朱夏を怖がらせたくはない…落ち着け…朱夏は何も悪くないんだから…そう自分に言い聞かせ浴室へ向かった。 朱夏はまだ不安そうな顔をしている…だめだ…俺が落ち着かないと… 「朱夏。おいで」 極力優しい声で語りかける…でも朱夏の怯えはまだ消えない…

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