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第90話
剣聖side
怖がらせたくないのにいつもより多少乱暴にしている自覚はあった…それなのに…朱夏は俺の触り方に欲情していく…
どうして?そんなに感じるの?男たちにされた余韻がまだ残ってる?そんなに良かった?ねぇ…朱夏…悔しい…悲しい…どうしたらいい?
「せんぱ…あっん…」
ただ中を洗ってやってるだけなのにどうしてそんな甘い声を出すの?ねぇ?
「そんな可愛い声そいつらに聞かせたの?」
俺以外に?ねぇ…
「タオルで口塞がれてたから…あぁっ…」
「そう」
聞かせてない?その可愛い声は聞かせてない?良かった…もう…俺以外に聞かせないで…
朱夏の好きな場所を好きな触り方で触ってやる。俺を見て…俺だけにして?朱夏…俺なしじゃいられなくなって…朱夏は自ら腰を振り始めた。
可愛い…やっぱり…可愛い…諦めるなんて俺には無理だ…
俺の手でこんなに固く張りつめて俺に縋り付く朱夏…
「イっていいよ。朱夏」
欲を放ち俺に寄りかかり俺に唇を重ねる朱夏。これは本人は無自覚だろう。俺を欲しいと思ってくれた?
「朱夏の中、俺ので消毒していい?」
「うんっ…いいよ…きて…先輩」
…これは…だめだ…朱夏が自分を見失ってる…だめ…このままじゃ抱けない…痛いくらい張り積めてるけど今抱いたところで朱夏は後で罪悪感を感じてしまうはず…やっぱり勢いでなんて抱けない…
「朱夏…ごめん。おしまい!よっし。浴衣着替えよ。もう一組あったから」
「先輩…」
そんなに物足りなそうに…切なそうに見ないで…
「今無理矢理ヤられたばかりのお前にできねぇよ。ほら。おいで」
腕を広げると朱夏が胸に飛び込んできた。
「先輩…先輩…」
涙がボロボロとこぼれ落ちた姿…あぁ…やっぱり…俺には…
「うん…大丈夫だよ。俺がいるから…大丈夫…」
子供をあやすように朱夏の背中を撫でた。甘えてくれればいい…俺は…お前の味方…誰にも譲らないよ。お前の隣…どんな形でも…
「落ち着いた?」
「はい…ごめんなさい」
朱夏が落ち着いた頃には空は白み始めていた
「目。少し腫れぼったくなってるね。何か冷やすもの持ってきてもらうように連絡する」
「はい…」
「寝てもいいぜ」
「んん…起きてる…」
朱夏は俺から離れようとしない…やはり深く傷付いてたよな?良かった…勢いで抱かなくて…
「直ぐに持ってきてくれるんだって」
暫くして女将が冷たいおしぼりを持ってきてくれた
「大変申し訳ございませんでした…」
事情が事情なので宿の人の限られた人には何があったのか説明するということを宇野さんに聞いてたからおそらく女将は何があったか知っているはずだ。
「女将さん。大丈夫です。私は男です。傷はすぐに癒えますから」
健気な朱夏の姿に胸が締め付けられる…男とか女とか関係ない…無理矢理嫌なことされて直ぐに傷が癒えるなんて…そんなことあり得るはずはない…
「あの。和水様。白木様。このお部屋は明日、明後日共に予約は入っておりません。お二人のご都合がよろしいのであればどうかお体を休めるのに使ってください。勿論本日、明日の宿泊費は頂きません」
「いいえ。宿泊費は払わせてください。そちらには何の落ち度もないのですから。ただ本日は引き続き宿泊させていただいても構いませんか?こいつを休ませたいので」
もう少し二人きりでいたい…朱夏をたくさん甘やかしてやりたい…
「えぇ。構いません。直ぐに清掃させます。その間別室をご用意させていただきます。普段から立ち寄り入浴の方に使っていただいている場所で清掃は終えておりますので」
通された部屋でゆっくり待つ。まだ立ち寄り入浴の時間になっていないから人は後数時間誰も来ないそうだ
俺から離れられないのか朱夏は俺の手を握っている。部屋に入り備え付けの畳張りのソファに座っても手を離さず俺の肩に頭を乗せた。
朱夏の頭を撫でながら手を握り続けた。
朱夏のこんなに弱った姿は見たことがない…ごめん…ごめんね…変な嫉妬でお前に酷い言い方しちゃってごめん…ごめんね…
「朱夏…ごめんな…俺が寝てたから」
「ううん。先輩を起こさないように出ていったのは俺だから…」
「何であんな時間に出たんだ?」
「うん。あの時間に目が覚めたら喉乾いちゃって自販機に行ってたの。そしたら…」
起こしてくれれば良かったのに…でもそんなことするわけ無い…それが朱夏だから。
「それで…あそこに買ったばかりのペットボトルが二本転がってたんだな。俺の分も用意してくれたんだね。ありがとう」
「…ごめんね。こんなことになっちゃって…」
「お前は何も悪くねぇよ。どんな理由があってもやった奴が悪い」
「でも…また汚されちゃった…もう先輩のとこにいられないね」
ほら…またそんな顔する…俺はお前が嫌がっても離れてやんないよ…
「は?何いってんの?関係ねぇよ。俺はお前の隣を誰にも譲る気はないからな。どんな関係であったとしてもだ。お前が前のままがいいならそうするしそこに体関係もいれたいならそうするし恋人にしろって言うならするし伴侶にしろっていうならするし」
「先輩」
「わかってるよ。お前が俺にどういう立場でいて欲しいのか。そのままでいいよ。特別な感情はいらないよ」
ウソ…本当は誰よりも特別になりたい…でも…今の朱夏に求めるのは違うから…俺は…耐えるしかないんだ…好きだから…どうしようもなく…朱夏のことが…
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