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第104話

帰りの車の中。二人とも無言で手を握ってた。 心地よい沈黙…それを破ったのは先輩の着信音だった パーキングエリアに車を止めかけ直す。 「もしもし。瑠樹愛。どうした?」 相手は久米のようだ 「うん。うん。あぁ。ははっ。わかってる。じゃあな」 先輩が電話を切りこちらを向いた 「久米どうしたの?」 「うん。今日は少しでいいから家に寄ってほしいらしい。朱夏も連れてってさ。家で飯用意して待ってるからって。それとあいつが新渡戸から引き継いだ大口の案件うまく行ったらしい。だからお前に伝えておいてくれって。お前も入ってたやつだろ?」 「あぁ。うまくいったんだ。良かった」 「どした?朱夏」 「先輩…」 「2人で過ごしたい?」 「ん…」 「んじゃ飯だけ食ったらお前の家に帰ろうか」 「うん…わがままでごめん。」 「いいよ。逆に嬉しい」 その後も無言で気付けば俺は眠っていた。目を覚ましたらもう2人の住む家だった 「ただいま」 「おかえりなさい!朱夏さん!剣聖さん」 「誰かお客様?」 「うん!」 玄関を開けたときから鼻を擽るようないい臭いがしてた。 久米のご飯だ…2人で過ごしたいって言ったのに食べ物の臭いで腹の虫は鳴るし思わず笑ってた。俺って現金なやつ… 「朱夏さんの好きなメニュー用意しておいたよ!」 「俺のは?」 「は?朱夏さんが優先に決まってるでしょ」 「はいはい。そうですか」 「おかえりなさい。剣さん」 「飛弦さん。お久しぶり。朱夏。おいで」 先輩に促され前に出ると写真よりもずっとずっと綺麗な人がそこにいた 「貴方が朱夏さん、初めまして。飛弦です」 「飛弦さん。初めまして。思ってた以上に綺麗な人ですね。」 「そんな。貴方には負けますよ」 「だーめーだーよー!!朱夏さんでも飛弦さんはあげないんだからね!!」 話してたら先にいってたはずの久米が戻ってきて飛弦さんの腕に巻き付いた。その姿がとても可愛くて顔が綻ぶ 「普通に話してただけだよ。お前から捕ろうなんて思ってないよ。安心して。俺には先輩がいるんだから」 「えっ!?もう決めたの?朱夏さん」 「ふふ…うん…俺にはどうしても先輩が必要みたいだから…」 「ねぇ。朱夏さん、大丈夫?そんなに焦んなくてもいいよ。大丈夫だよ。剣聖さんは朱夏さんしかみてないんだから。そんなに焦んないで。ねぇ。」 「取り敢えず手洗ってくるね」 先輩と2人で洗面所へ行くと先輩が不安そうにこちらを見てた 「朱夏。さっきの。嬉しいけどそんな焦んなくていいぞ。瑠樹愛の言う通りお前しか見てないんだし」 「ううん。決めたの。わかったから。結局俺には先輩が必要だって」 「嬉しいよ。ありがとう。けど。今はだめ。今決めちゃだめ。」 決めたのに先輩がそれを拒否する。どうして? わからない

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