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第3話
「雅楽川 さん?雅楽川さん?」
「あ?ごめん、意識飛んでた」
「ちょっと、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、で?」
「あの……また予告状が届いたみたいです」
「鴉か?」
「そうです」
今追っている事件が一段落した途端に気が緩んだのか最近身体の調子が悪い。
発情期はまだ先のはずなのにな……
「本当に大丈夫ですか?顔色あまり良くないですよ?」
「……なんか、最近身体がおかしくて。何がどうってのはないんだけど、なんか不調でさ」
「じゃあ、今回は────」
「いや、行く。で、今度はどこだ?」
「古城を貸し切ったセレブパーティーみたいです」
「……古城?」
古城なんて今の時代まだあるのかよ。
それに貸し切りって言ったら相当な金持ちってことか。
確かにあいつらも好きそうだな……
念の為抑制剤を持参しておこうと考えながら重い腰を上げると、桜庭の視線を振り切るように部屋を後した。
*
「怪盗BLACKCROW……か」
親父が殺された時がちょうど10歳くらい。
当時はまだ子供で、父親が死んだと言う事実を受け止めるだけで精一杯だったが、学生になって初めて本格的に父親の死について調べてた。
だけど、どのくらいの規模の組織なのか全く検索に引っかからず謎のままで、それから刑事になって少しは手掛かりが見つかると思いきや結局何も分からないまま。
だから最近は検索すらしてなかったが、パソコンを開いたついでにと久しぶりに検索をしてみたら……今まで書いていなかったことが書いてあり、食い入るように画面の中の文字を追ってしまった。
「一族は人間ではなく、獣人である……そして自由自在に鴉の姿へと変えられる。場合によっては……羽根だけを現し半獣人のようにも……」
鴉って……マジで鴉だってことなのか?
獣人の話は親父からチラッと聞いたことがあったがまさか本当に存在するなんて……
だから親父は怪盗BLACKCROWを追っていたのか。
研究材料として追っていたのは獣人の方だったの……か。
そして、文章の最後にはこう記されていた。
「……怪盗BLACKCROWと呼ばれる一族はごく少人数……または一人の可能性が高い」
一人……って……マジかよ。
それに今までの犯行を全て一人で?
もしもここに書かれているように自由自在に鴉の姿になれるのなら……犯行は簡単なのか?
いやいやいくら鴉でもそんなには……
そんな半信半疑な思いを抱いたまま数日が過ぎ、予告状に記されていた日を迎える。
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