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第5話

熱く火照った身体が次第に冷えていくような感覚と共に意識も戻っていく。 そして何かが頬に触れた感覚にゆっくりと目を開けると知らない男が俺を見下ろしていた。 「大丈夫か?」 「……だ、れだ……お前……」 「目覚めていきなりそれかよ、ひでーな」 するとその男は呆れたように盛大にため息をついた。 無造作な黒髪から覗く黒い瞳。 呆れたような態度とは裏腹に少し緩んだ口元とそこに存在するホクロが色気を漂わせていた。 よくよく見ると黒髪に似合う整った清楚な顔立ちで歳は俺と同じくらいかちょっと若いように見える。 ぼんやりとそんなことを考えていると男と視線が絡まり、そして自然な流れで俺の頬に手を置いた男が再び口を開いた。 「気分はどうだ?」 「大丈夫、今は落ち着いたみたいだ」 「ならよかった……」 本当にこいつ誰なんだ。 それにここ一体どこなんだ。 「俺……」 「あんた刑事なんだろ?」 「なんでそれを……」 「ちょっと警察手帳見せてもらった。つーか、刑事のくせに無防備過ぎるだろ。あんた、Ωみたいだし」 「うるさい、そんなの俺の勝手だろ。それに俺は雅楽川だ。名前で呼べ」 「いちいちうるさいおっさんだな」 「はぁ?」 「そんな怒るなよ。はいはい呼べばいいんだろ、ちーちゃん」 「ちっ!?」 あまりの馴れ馴れしい態度に、キレる寸前でもう一度名前を呼ばれると、今度は自ら自己紹介を始めた。 「俺の名前は黒城 柊羽(くろき しゅう)。黒い城でくろき、柊に羽根でしゅうと読む」 「黒……羽根……」 「なんだよ」 「いや……」 「それと、この古城の当主だ」 古城…… 当主…… そして意識が鮮明になるにつれて点と線が繋がっていく。

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