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第9話

「俺が憎いんだろ?だったら遠慮なくその手で俺を殺したらいい。 ただし、その運命を踏み付けることが出来るのならな……」 抗えないと、殺せないと分かって言ってるのが憎たらしい。 「なんだよ、拒むの止めたのか?」 「……ち、違う……ッ……」 「身体は正直……と言うか、これが運命なんだから仕方ないだろ。それとも───」 ──── ─── 冷たい床を擦るように、腰を突き上げながら『運命』だと口にする柊羽が再び笑みを浮かべると異常なまでの快楽が身体中を支配する。 「……あ……んッ……もうッ……」 黒い瞳、黒い髪、そして……身体を繋げた時に現れた黒い羽根をばたつかせながら囁く──── 「ほら、言えよ。殺したいほど憎いけど……好きだって……俺を愛してるって。そしたらイかせてやる」 「────お前のことは憎い……けど……」 怪盗とそれを捕まえようとする刑事、そして獣人と人間。 そう、俺たちは決して交わってはいけない関係。 「けど?」 だけど憎いはずのこいつを…… 「……愛してる」 どうしようもないくらいに本能が求め、それが愛へと変わる。 そして、この想いをどこに位置付けたらいいか曖昧なまま、身体が熱くなるこの感覚に麻痺していく…… 「いい子だ。俺も愛してるよ……千歳」 全てが満ちるように、耳元で名前を囁かれると身体は柊羽の言葉に反応する。 「……ん、あッ」 「中が焼けるように熱い……ッ……それに……甘いな」 人間よりも遥かに大きいそれが俺の最奥を突き上げる度に感じ、満たされていく。 「……ッ……もう……ッ」 「どうして欲しいんだよ」 「なかッ……中に……ッん、……出し……」 「今、中に出したら孕むかもしれないぞ?」 魂が惹かれ合うとは恐ろしいことだと思う。 憎い相手の精液すら中に出して欲しいなんて簡単に口にできる。 孕んでもいいとさえ思ってしまう。 それは魂の番だから。 運命は決して抗えない。 「……い、いッ……出して……早くッ」 無言のまま俺の言葉を聞き入れるかのように、最奥にドクドクと熱を吐き出し、同時に俺は柊羽との腹の間に熱を吐き出すと、なんとも言えない気持ちで満たされた。 腹の中が熱くて、熱くて、重い…… 意識が薄れそうになる瞬間、柊羽が俺の口を塞ぐと、前と同じように薬らしきものを口移しされ、深いキスと混ざるようにそれを噛み砕きながら流し込まれた。 「───例え、お前が俺を忘れたとしても……俺は千歳のことをずっと愛してる」 そして唇が離れたと同時に告げられた柊羽の告白。 思考が分散され、理解しようとすればする程混乱していく。 そんな状態のまま、再び襲い掛かってきた強烈なヒートによって俺はそのまま意識を失った。

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