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5:急な来客

「お、おはよう、ライタ、」 「おはよう、イリ、」 清々しい朝だというのに、イリとライタはどんよりとした空気を醸し出していた。それに比べ、ターリャとシャールは艶やかな毛並みで、満足げに笑っている。これを見れば、誰だって昨日から朝にかけてお盛んだったというのが分かってしまう。 それもそのはず。1週間ぶりにターリャはイリと、シャールはライタと夜を共に過ごしたのだ。ターリャとシャールが我慢できるわけがない。 辛そうに腰を抑えているイリとライタを、ヒトラは甲斐甲斐しく世話をする。ターリャとシャールに手加減するようにと小言も忘れずに。 まぁ、1週間ぶりだから仕方が無いとヒトラも諦めているが。 「イリ様、ライタ、まぁ頑張ってくださいませ」 「…………頑張ってみます。ライタも、ね」 「…もちろん、」 はぁと疲れた感じでため息を吐くイリとライタの為に、ヒトラは温かいココアを入れてあげることにした。もちろん、ターリャとシャールの分はなしだ。 イリとライタが、ヒトラの入れてくれたココアを飲んで落ち着いている時、慌ただしくメイドが5人のいる部屋に入ってきた。 イリとライタの自慢話をしていたターリャとシャール、それからイリとライタとヒトラの視線が一気にメイドに集まる。 「どうした?」 5人の中から代表して、ターリャが入ってきたメイドに声をかける。 「あ、あの!至急お知らせしたいことなんですが、」 「なんだ?」 「狐の獣人様が、こられています」 メイドの言葉に、ターリャとシャールの表情が一瞬で怒りのそれに変わる。よく分からないが、嫌な奴だというのはなんとなく想像できる。 「………勝手に入ってきたのか?」 「はい。その、止めようとはしたのですが…」 「そうか。ご苦労だったな」 ターリャが少し表情を緩めて笑う。そして、心配するなと言ってメイドを下がらせた。 「あの、狐の獣人様って、?」 話に付いていけないイリが、心配そうにターリャを見る。 「…………親の時代からの知り合いだが、あまり礼儀のない奴らなんだ」 そうターリャが怒りを抑えたように言った。

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