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6:嫌な視線

「いいか?2人共。ここから俺達が戻るまで絶対に出ないように」 狐の獣人が来たと知らされたターリャとシャールは、イリとライタをとある部屋へと連れてきた。どうやら、この城にある隠し部屋らしい。敵が侵入した際、大切なものを守るために作られた部屋。 この部屋に入れらされたということはただことではないと、2人はターリャの言葉にただ頷いた。 「ターリャ、」 「心配するな、イリ。すぐに帰すから」 「お前も。心配そうな顔すんじゃねーよ」 「でも、」 心配そうに見上げてくるイリとライタを、ターリャとシャールはそっと抱きしめる。そして、名残惜しそうに離れると、2人は部屋から出ていった。 「大丈夫かな?」 「………ターリャ様もシャールも大丈夫って言ってたし。でも、」 ターリャとシャールが嫌な顔をするということは、きっとバース関係のせいだ。2人というよりも、狼の獣人は全体を通してバース差別を嫌っている。しかし、バース差別をする人は少なくはない。イリとライタのいた鳥の獣人の国も、バース差別は激しい方だった。 だからなのかもしれない。Ωなのに美しくないイリと、βでありながらαであるシャールと婚姻を結んだライタを隠したのは。 2人に辛い思いをさせたくはないから。 「優しいね。ターリャ様も、シャールも」 「うん…」 隠し部屋で2人がターリャとシャールの愛を再確認した時だ。ドアがガチャりと音を立てて開いた。 もしかして、もう狐の獣人に帰ってもらえたのかと一瞬思ったがすぐに違うと気づく。なにせ、ドアを開けて入ってきたのはターリャでもシャールでもヒトラでも、城にいるメイド達でもなかった。 「もしかして、お前らがターリャ様の番で、シャール様と婚姻を結んだ奴?」 「は?こんな平凡が、あの2人を捕まえたわけ?」 隠し部屋に入ってきたのは、2人の狐の獣人だった。イリとライタの姿を見た瞬間、呆れたように鼻で笑う。 「なんで、ターリャ様とシャール様はこんな男達を選んだんだろ」 「ありえないよな」 クスクスと笑いながら、急な出来事で何も言えないイリとライタをバカにしたように2人の狐の獣人は見ていた。

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