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第3話

俺は必死に走って、走って、走って足を止めた頃には森の中に居た。 柊さんの声を背中に感じ走り出した俺は魔王の城を飛び出し、荒野を駆け抜ける。 靴など履いていないので岩や石を踏む度に痛みが襲ってきたが、俺は走るのに必死でその痛みを無かった事にした。 「はぁ…はぁ…はぁ」 静かな森では俺の上がった息遣いだけが響いている。 しかし不思議な事に疲れを全く感じていなかった。 「くっそ…」 岩や石を踏んでボロボロのはずの足には傷ひとつない。 柊さんの言葉は本当だったんだろう。 俺は木にもたれかかって、その場に座り込む。 人の手が入っていない森の中は薄暗く、元々暗い空のせいで夜の様に暗かった。 ガルルルル 獣の声に俺はハッと我に返った。 柊さんの話が本当なら、ここは魔界だ。 どんな生き物がいるか分からない。 SFとかファンタジーの知識が乏しい俺でも、魔界と言われれば凶悪な生物が居ることは想像に容易い。 「ひぃっ!」 唸り声と共に表れたのは大きな犬だった。 牙を剥き出し、こちらを睨んでいる犬に射竦められた俺は身動きも取れない。 どんどん近付いてくる犬に身体が自然と震える。 「わっ!」 少し離れた所から狙いを定めて俺に飛びかかってくる犬に、俺は頭を守るために腕を前にだした。 しかし、一向に痛みは襲って来ない。 不思議に思いつつうっすらと目を開けると、犬が俺の掌の匂いをくんくんと嗅いでいた。 「え…うわっ」 俺が戸惑っていると、大きな舌で掌をべろりと舐められ驚いた声が出てしまった。 よくよく犬を見ると、首にバンダナを巻いている。 飼い犬なのかもしれないと思ったが、ここは魔界なのだ只の犬のはずがない。 「ちょっ、こら…重い!!」 この犬をどうしようかと思っていると、犬が俺の肩に前足を掛けてきた。 その重みでバランスを崩して倒れる俺に、今度は頭や首の匂いを嗅いでくる。 いつ噛みつかれるのでは無いかという恐怖が拭えた訳ではないが、大きな犬が鼻を鳴らしながら匂いを嗅ぐ仕草は可愛らしいなと感じた。 ひとしきり俺の匂いを嗅いだ犬は満足したのか、鼻をフスンと鳴らして俺からおりる。 そのまま暗闇に消えていく犬の後ろ姿を俺は唖然として見送った。 「何だったんだ…」 釈然としなかったが、俺は未だに震える足に鞭打って立ち上がる。 少しでも遠くに行こうとゆっくりとではあるが森の奥へ歩みを進めた。 「池?」 少し開けたところに出たと思ったら、小さな池が広がっている。 何か居そうな雰囲気が感じられなかったので、俺は近付いて水を触った。 引き上げてみた手に異状がない事を確認してから俺は池に足を入れる。 汚れた足を洗ったところで、やっと大きな溜め息が出た。 「魔界ってなんだよ…しかも旦那?何だよそれ…俺は会社から帰る途中で、そんなの望んでないっての」 ついつい独り言が出てしまったが、生き物の気配がしないので少し気を抜いていた。 その時、後ろに手を引かれている気がして何気なく視線をずらしたところで俺は信じられない物を目にしてしまった。 「うわぁぁぁ!!」 そこには俺を襲った赤紫色の触手が居た。 俺は慌てて手を引いて池の対岸に向かおうと身体を動かすが、水の抵抗があって中々前には進めない。 バシャバシャと音を立てながら進むが、触手がしゅるりと腕に巻ついた。 強い力で岸に引き戻された俺は、力の限り暴れる。 しかし、触手は次々に足や腕に絡み付いてきて身体を押さえ込まれた。 「くそ…何だよ!!」 何とか腕に力を込めるが、力を入れる度に触手は強く巻き付いてくる。 俺は恐怖よりも怒りが強くなり、手近な触手を思いきり握った。 手に触手が引き裂けるブチブチブチという音と共に感触があったが、肝心の触手は痛みを感じていないのか俺を締め付ける力は変わらない。 「こら!やめろ!!」 遂に触手が服の中へ侵入してきた。 服を引き裂かれ、腹を意味深に撫でられた瞬間に嫌な予感と共に悪寒が走る。 俺は手の中にある触手の破片を投げ捨て、手当たり次第に触手を掴んで引き千切ろうとしたが手を一纏めにされてしまった。 頭の上で固定されたことろでヌルリと目の前に触手があらわれる。 「んぼっ!」 目の前で触手の先端が二股に別れたかと思うと口へ張り付いた。 油断していたせいで口の中へ入ってきて舌を絡め取られる。 「んむ!むっ!!」 次に別の触手があらわれてペニスをすっぽりと二股に別れた触手に包まれてしまった。 ペニスをしごかれながら尿道にも侵入してくる触手に、なんとかそれを取り外そうと身体を動かす。 しかし、それを俺が喜んでいると思ったのか触手がどんどん身体を包んでいく。 胸にもペタリと張り付き、乳首を小さな吸盤状の突起が無数についた触手で擦られる。 「ふっ、んむぅ」 口は触手に塞がれているし、舌を絡め取られているのに息苦しさは全くない。 もしかしたら触手に酸素を送り込まれているのかもしれない。 「んはぁ」 口から触手が出ていくと、俺の唾液と触手の粘液が糸を引いて橋を作る。 この時既に俺の頭の中は快楽で埋め尽くされて、下腹部が小さく痙攣しはじめていた。 「んもっ」 また口に触手が入ってきたが、不思議な事に嫌悪感は消えていた。 触手は何かを分泌しているようで、俺が舌を絡めると舌に甘い味が広がる。 その甘い液体を飲み込む度に幸せな気持ちが込み上げてきた。 身体の力も抜けはじめ、尻に冷たい物が触れる。 「ふぇ?ヒギッ!!!」 孔に冷たい物が触れるのを感じた瞬間、それが腹の中へ侵入してきた。 痛みは無かったが、腹の中を這い回る異物は不快以外の何物でもない。 「ん"ん"??」 触手が腹の中を押したらしく、その刺激に力が入って触手を締め付けてしまった。 下腹部も触手を求めて収縮を繰り返す。 俺の意思とは関係なく、身体は必死に触手を求めている。 俺は自分の身体なのに、その反応が信じられなくて益々戸惑う。 そんな戸惑っている俺の思考を奪うように触手が至るところに侵入してくる。 鼻の穴や耳の穴にも入ってきた触手に、俺は遂に食われてしまうんだと覚悟をきめた。 「ん"ん"ん"ん"ん"」 覚悟を決めた俺の心中をよそに尻の孔に、もう一本触手が侵入してきた。 ぐにゅぐにゅと動き回る触手に腸内を滅茶苦茶に掻き回され何度か意識が飛びそうになる。 また新たな衝撃にもう一本触手を足された事を感じたが、身体がガクガクと大きく痙攣しているし手足は完全に触手の中に埋ってしまっていて抵抗らしい抵抗ができないでいた。 「ん"ぉ!」 ズルズルと触手を引き抜かれ安堵していると、どすんと腹を殴るような重い衝撃を感じる。 その後何度も何度も重い衝撃が腹を襲ってきて俺は絶頂をむかえた。 尿道から直接精液を啜る触手と、孔を支配する触手に下半身を支配され目が霞んでくる。 「んもぉぉぉ!!」 突然腹に熱を感じて、それにも射精してしまう。 触手は色を変えることができるのか赤黒かった触手は一部を透明にして、俺の精液を取り込んでいるのを見せ付けてくる。 触手も射精して満足したのか、手の拘束が解かれた。 「ふぁ…」 口を塞いでいた触手も口から出ていく。 突然襲われたショックで放心しているのに触手は俺を無数の触手で包み、うにょうにょと移動をはじめる。 まるで労る様に頭や無精髭のはえたままの顎を撫でられた。 唇をつんつんと触れてくる細い触手を無視して顔を背けると、その触手でまた頭を撫でてくる。 「いや…もう入らない!入らないいぃぃぃぃぃ」 触手の巣に連れ込まれた俺は、再び身体を包まれ触手の分泌物を腹に限界まで注がれていた。 何本も腹を行き来する触手に身体を弄ばれ、注がれる液体で腹がぽっこりと膨れてしまっている。 柊さんの言葉を聞いていれば良かったと後悔をしても、もう遅い。 「う…もう…やめ…」 受け止めきれなかった液体が孔から草の上に落ちる。 下品な音が辺りに響くが、ゆるみきった孔に力を入れることもできない。 口の中へ注がれる甘い液体をただ啜り、気をまぎらわせる事しか今の俺にできることはなかった。 「もう…おわった?」 流石に俺が後ろの孔から白濁した液体を何度か吐き出した所で、触手の動きが止まる。 腰や足はびくんびくんと痙攣して跳ねているし、乳首は女性の様にぷっくりと腫れて上を向いていた。 ペニスも力なくうなだれて、茂みには俺が出した精液と触手の分泌物が乾いて固まっている。 一方的な辱しめが終わる頃には、俺は触手の事が好きになっていたがそれを不思議だとは思っていなかった。 引き千切った触手はいつの間にか再生したようだが、俺はそれを申し訳なく思って撫でる。 「おれ…何でお前の事嫌がってたんだろうな?」 俺は触手を撫でながら身体を触手に預け、まったりとした気分にうとうとしはじめる。 「俺…お前の嫁なのに…あれ?」 自分の言葉に一瞬疑問符が浮かぶが、何がおかしい事なのかが分からない。 触手は俺の言葉に喜ぶ様に背中や腹を撫でてくれる。 「こら…ふふふふ」 また身体を求めてくる触手を叱りながら戯れているうちに夜が更けていった。 + 「良かった~心配してたんだよ!!」 触手に送り出され、俺は魔王の城に戻った。 王様なのに門の外まで迎えに来てくれた柊さんに俺は安堵の溜め息をつく。 「ご心配をおかけしました」 「帰ってこないから、低級魔にでも襲われたのかと思ったよ!あいつらは意思がないから心配だったんだよ」 何気なく言う柊さんの言葉に、背筋が凍った。 もしかしたら俺は無謀な事をしてしまっていたのかもしれない。 「で、一晩どうしてたの?」 「えっと…旦那に助けてもらいました…」 俺は照れ臭くて俯いたが、柊さんの複雑そうな顔には残念ながら気が付かなかった。

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