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第2話

「ねぇ…ミシェル……。人がいっぱいいる…」 「手をお離しください。ここから先は一人で行かなくてはいけませんよ」 「……できない…一緒じゃないとやだ……」 「レナ様!貴方は由緒正しきオーヴァルニ家の一員です。これくらいで泣き言をおっしゃらないでください」 「ミ、ミシェル……」 初めてのパーティーが4際でだなんて、流石に酷だとは思う。 それに加えて、使用人は別の会場で互いに親睦を深めるようにとのことだ。 ついて行って差し上げたいのだが、そうすると主催者の配慮を無視することになる。 つまり、レナ様は1人でこのパーティーを乗り切らなくてはならない。 「手をお貸しください」 不思議そうな顔をしながら差し出された手に、そっと自分のタイピンを握らせる。 「これを差し上げます。レナ様の誕生石……アクアマリンです。石言葉は、勇敢。怖くなったらこれを握ってください」 「わかった……ありがとう、ミシェル。いってくる」 涙目で必死に笑顔を作ろうとするレナ様を、どこか誇らしく思った。 使用人用の会場には、それはそれは大人数が集まっていた。 それもそのはず、今日はエレオノール家のシャルル様が初めて主催されたのだ。 だから、レナ様も参加することになった。 一応、早すぎますとは助言したのだが。 旦那様はレナ様をシャルル様に嫁がせるためには仕方ないの一点張りだった。 くだらないことを考えていても仕方ない。 私は他家の執事とのパイプを作ることに専念しよう。

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