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第3話
気持ち悪い……
いつもはミシェルと二人だけだから、こんなに人が多いのは初めてだ。
それにお父様は素晴らしい方だから、いっぱいの人が話しかけてきてしんどい。
一人は嫌だけど、ミシェルに貰ったタイピンを握りしめて必死に耐えた。
握りしめた手はどんどん白くなって、それと同じくらい目の前も白くなっていく。
ふらぁっとした時、きゅっと肩を支えられた。
「大丈夫か?」
「へ?あっ、ふわ!シャルル様!?」
突然響いたその声にびっくりして、前を見る。
そこにいたシャルル様を見て、僕の心拍数は更に上がった。
初めて見た彼には獣人らしく狼の耳としっぽがついている。
まだ大人のに比べると小さくて丸みを帯びているけれど、充分かっこいい。
「休んどけ」
シャルル様はそう言って、そっと背中を撫でてくれた。
見た目だけだと、鋭そうでちょっと怖そうだけど、本当はとっても優しい。
お父様の言う通り、あんな方が僕の旦那様になってくれたらいいな。
お父様は今日のパーティーで、シャルル様とせめてお話はしなさいって言ってた。
それ、今のでいいかな……
怒られないかな…………
ちゃんとお話したしきっと大丈夫!
シャルル様にも休んどけって言われたし、壁際にそっと寄った。
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