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第6話
結婚式前日。
僕は式が行われる宮にいた。
皆忙しそうに動いている。
そんな中、僕は変に豪華な椅子に座ってぽけーとしているだけ。
もうすぐ呼ばれるはずだけど。
ただ久しぶりに見る、ミシェル以外の人や獣人に僕の心は跳ねた。
お父様は僕が屋敷から出ることを禁じていたから。
そんな事しなくても、恋愛だとか逃げるだとかしないのに。
「レナ様、お召し物の用意が整いましたのでこちらへ」
「ええ」
うさぎの獣人さんだ。
ひょこひょこと揺れる長い耳を見つめながら付いていくと、結婚式用であろう服がいくつか置いてある部屋にたどり着いた。
さすがエレオノール家とオーヴァルニ家の結婚式だけあって、豪華だ。
お色直しは……6回か…
「一通り、腕を通していただきますね」
うさぎさんがそう発すると、控えていた衣装係の人たちがぱっと僕を着せ替え始めた。
1着着る事に腕や足を動かされるので、案外疲れる。
1回ごとにお似合いです!と言われ、なんか申し訳ないなぁと思ってしまった。
今まではミシェルと二人きりが普通だったけど、これからはいつもこんな風に囲まれるんだろうなぁ。
「レナ様、大変お美しゅうございました。ミシェル様の元へお連れしますね」
そうだ。
ミシェルはどこにいたんだろう。
ずっと付いていてくれるものだと思っていたけど、何かする事があったのだろうか。
またうさぎさんに付いていき、さっきの広間に戻ってきた。
「では、私はこれで」
「はい。ありがとうございました」
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