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第11話
翌日、僕は迷っていた。
シャルル様に言われた通り部屋で夕食をとるか、それともダイニングルームで待っているか。
待ってたら、また、ため息つかれちゃうかな……
でも、このままシャルル様とお会いする機会がほとんど無くなってしまうのは嫌だ。
名前だけの嫁だけど……
僕は、シャルル様に少しでも会いたいから。
結局、僕はダイニングルームで彼を待つことにした。
ミシェルと他愛もない話をして待っていると、ドアが開き、シャルル様が入ってきた。
「レナ……?一人で食べていろと伝えたはずだが」
「僕がいると、お邪魔ですか?」
「そういう訳ではないが……」
「なら…」
「レナ。お前がオーヴァルニ家のために俺との子をもうけなければならないのは分かっている。そのために、俺の機嫌をとる必要があることもな」
「え……?」
何を言っているのだろう。
僕が、本当に家のためだけに言ってると思ってるの?
一緒にご飯を食べたいって、そんなに大きな願い……?
「俺はお前の腹にできた子なら、俺の子だと認知しよう。だから、お前は」
シャルル様の言葉を最後まで聞くことができずに、僕はダイニングルームから飛び出した。
感じたのは、哀感と屈辱。
僕の気持ちを少しも信じてもらえていなかったのが、悲しくて悔しかった。
さっきのは、シャルル様は僕と子供を作る気は無いから、他の人と作ってこいってことだ。
そんなの、嫌だ。
好きじゃない人の子供なんて、産みたくない。
「レナ様、お部屋に入っても?」
「…………うん」
しばらく時間が経ったあと、ミシェルが訪ねてきた。
その声を聞くことができると、少し安心する。
ミシェルはベッドの横に立って、そっと背中を撫でてくれた。
泣いてる顔見られなくてよかった。
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