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第29話
いつもと違うシャルル様に、僕もちょっと勇気を出してみる。
「シャルル様は、僕を抱いたこと、後悔してませんか?」
「俺自身に悔やみはない。だが、お前の意思を確認しなかった事は気に掛かっている。
レナは後悔しているか?」
ほっとした。
聞いといてなんだけど……
後悔してるって言われたら悲しいから。
「そんなの、する訳ないです。むしろ、良かった。シャルル様には、嫌われていると思っていたので」
「嫌っている?俺が、レナを?」
あ……。
ずっと思ってたことだから、ついぽろっと出てしまった。
「いえ、あの……」
そんな風に思われてるなんて、普通嫌だろう。
「はは、大丈夫だ。そう思わせる態度を取ってたのだろうしな。罪悪感があって……レナには俺に捕らわず自由にして欲しかった」
「…?」
罪悪感……?
シャルル様に捕らわれてるなんて、思ったこと無かったけど.....
「いや、すまん。なんでもない。食器は片付けておく」
なんのことが聞く暇もなく、シャルル様は食器を重ねたトレーを持って、部屋を出ていった。
え……
シャルル様は足早に出ていってしまった。
少し、距離が縮まったと思ったのに…
僕の、勘違いだったのだろうか。
なぜか、少し落ち込んでしまった。
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