32 / 37

第32話

「レナ様は、シャルル様と結婚できたことを幸せに思っていますよ」 「それは、伝わってくる。レナがそう思わせてくれた。だが......」 そう思わせてくれた、か。 レナ様が聞いたら、大喜びするだろうな。 「気に病まなくてもいいのでは?今のレナ様を見て差し上げてください」 「少しは愛情を返せるだろうか?」 「貴方の気持ちを真摯に伝えれば。 …….本音を言うと、私はシャルル様のことが不愉快だったのですが。今日のお話で好きになれそうですよ」 シャルル様はただ、不器用なだけなのだろう。 何しろ、私よりも一回り歳を重ねていないのだから。 「お前は……。主人に不愉快だなんて言うか?」 「だったと言ったでしょう。それに、お優しいんでしょう、貴方は」 以前話した時は微塵もこの方が優しいとは思わなかったが、今は少しレナ様の言っていたことが理解できる。 「そうあれるように、努力する」 以前とは違い、少々の笑みを交わした後、私は部屋を去った。

ともだちにシェアしよう!