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第32話
「レナ様は、シャルル様と結婚できたことを幸せに思っていますよ」
「それは、伝わってくる。レナがそう思わせてくれた。だが......」
そう思わせてくれた、か。
レナ様が聞いたら、大喜びするだろうな。
「気に病まなくてもいいのでは?今のレナ様を見て差し上げてください」
「少しは愛情を返せるだろうか?」
「貴方の気持ちを真摯に伝えれば。
…….本音を言うと、私はシャルル様のことが不愉快だったのですが。今日のお話で好きになれそうですよ」
シャルル様はただ、不器用なだけなのだろう。
何しろ、私よりも一回り歳を重ねていないのだから。
「お前は……。主人に不愉快だなんて言うか?」
「だったと言ったでしょう。それに、お優しいんでしょう、貴方は」
以前話した時は微塵もこの方が優しいとは思わなかったが、今は少しレナ様の言っていたことが理解できる。
「そうあれるように、努力する」
以前とは違い、少々の笑みを交わした後、私は部屋を去った。
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