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第36話
腹を括らなきゃ。
「わ、笑わないでくださいね…」
「...?」
恥ずかしくて俯いたまま、自分で一つ、また一つとボタンを外していく。
三つ目のボタンを外すと、ふわりと水色のレースが顔を出した。
シャルル様に、見えているだろうか。
顔が上げられない。
それでも、手を休めることなくボタンを外していく。
全部外し終わると、大きく深呼吸した。
そして、そっとシャルル様の顔をうかがう。
シャルル様は呆然としたようにこちらを見ていた。
「シャ、シャルル様……?」
目を合わせても何も言わないシャルル様に心配になる。
「あ、あぁ。似合っている」
「っ、違うんです!これは、ラウール様に頂いたものを着ていただけで......着ようと思って着たわけじゃ…」
必死に弁解していると、シャルル様はくしゃっと笑った。
「可愛らしい、レナ」
びっくりして、今度は僕が固まってしまう。
可愛らしいって言ってもらえるなんて。
恥ずかしかったけれど、着ていてよかった。
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