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美しい御方
長い睫毛に縁取られた目は穏やかで、夜の帳を思わせる。
すっと通った鼻に、薄い唇。尖った顎。並みの女より白い肌は極め細かく、華奢な身体。
ほっそりとして見えても、やはり武芸者であることに代わりはなく、引き締まった肉体美。腰まである髪は艶やかだ。
琥珀様はとても綺麗だった。
かく言う忍の俺も日には焼けていないものの、琥珀様のような美しい肌は生憎と持ち合わせていない。
琥珀様が元服されてから、俺はずっと彼のお側をひとときも離れたことがない。
それが原因なのか、この慕情は日に日に深まるばかりだ。
だが、忍には慕情などあってはならない。情を抱けばその分、感情が揺らぎ、失態を犯す可能性が出てくる。
どうにかこの感情をコントロールしなければ……。
俺は目をつむり、生まれ出た動悸を静めるため、そっと呼吸する。
「……蒼? 怪我でもしたか?」
すると突然、琥珀様は俺の顎を捕らえた。上を向かされ、美しい琥珀様を眼に宿せば、胸が高鳴る。
常に微笑を漏らし――俺の名を呼ぶ薄い唇を、己の唇で塞ぎ、喘がせ、華奢な御身に俺の肉棒で貫きたい。
「蒼?」
「っ、なっ、俺は忍頭です! 怪我などあり得ません!!」
今ひとたび名を呼ばれ、我に返った俺は首を振る。そうして気が付いたのは、俺の腕がいまだ華奢なその腰に回っていたことだ。
「ご無礼いたしました!」
慌てて飛び退き、片膝を立てる。
「真面目だね、君は」
クスクスと笑う琥珀様の声は小鳥のさえずりの如く心地好い。
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