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忍び頭の誤算

 ◆  俺は琥珀(こはく)様の薄い唇を割り開き、自らの舌を侵入させて口内を蹂躙する。  美しい絹のような黒髪に指を通し、髪の一本一本さえも自分の物だとたしかめる。  琥珀様から香ってくる、この甘い匂いは何だろう。  夢中になって舌を絡め、吸い上げる。  琥珀様のくぐもった低い声と、舌を交える唾液の水音が俺の耳孔を攻め、下肢が熱を持つ。  抱きたいと思っていた琥珀様がようやく手に入るのだ。胸が早鐘を打つ。 「ん、んぅうっ?」  ちょっと待て。何かがおかしい。  それに気が付いたのは、もうしばらくしてからだ。  琥珀様の手が、何故かあらぬ方向で動いているのを感じた。  あらぬ方向というのは……俺の尻だ。  琥珀様の手が、俺の尻を揉んでいた。そうかと思えば、指が中に侵入してきた。 「んっ、あっ!!」  異物感が俺を襲う。だが、けっしてそれだけではなくて、全身が痺れるような感覚だ。 「可愛い俺の(あおい)」  身じろぎをしながらも接吻に酔いしれていると、琥珀様の指は袴をくぐり、俺の陰茎をなぞった。  亀頭に触れられると、全身が疼く。 「っは!!」  俺の口からおかしな声が出た。 「ちょっ、なんでっ!?」  慌てた時にはもう襲い。俺はいつの間にか袴を抜き取られ、下半身があらわになっていた。 「何故って、俺が君を抱きたいから、こうしてここを解して……」 「んっ、っひ!」  ……ツプン。  俺の先走りを纏った琥珀様の指が音を立て、尻の孔に入ってくる。  指はゆっくり、中を掻き回すようにして襞を押し広げながら進む。

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