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第24話 アサのお料理 2
ごちゃごちゃに散らかった厨房を去り談話室にたどり着くと、眩しいほどの太陽が小さな窓から入り込んでいた。肌寒い朝を溶かしてくれるような気持ちい陽射しだ。
「ねえねえ、アサ。ニールのこと話そっ!」
じゃん!とお茶の入ったカップを手渡される。鼻に届いたのは気持ちを落ち着かせる甘い紅茶の匂いだ。
「ニール?」
「うんうん!」
壁に掛けられた時計の針が40分を超えるまで、ケンは身振り手振りを加えてニールと僕のことを質問してきた。
ニールは僕にとってなくてはならない存在。
この気持ちがなんていうものなのか、僕の中でまだよくわからないけど、家族や慣れ親しんだものから離れて暮らす中で、ニールがいなくなったら、と考えると心がぎゅっと痛くなるくらい大切な存在になっていた。
知っている単語が少ない僕はケンに色々と話すことはできなかったけど、針が40分を指すころ、ケンは満足したように頷いてニヤニヤと笑っていた。
「うふふ、2人はラブラブなんだねー!」
「ラ、ブ、リャブ?ン?」
「へへ、なーんでもないよー!さ、厨房にもどるよ!パブロバパブロバアアア!」
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オーブンから出てきたメレンゲを冷ましたり、果物やクリームで飾ったりしていくと、だんだんと色とりどりで綺麗な焼き菓子となっていった。散らかった厨房からは想像できないような出来栄えだ。流石は毎日の料理を任されているケンである。料理は得意だが片づけは苦手みたいだ。
「これはまた、だいぶ厨房を汚されましたね、ケン」
「ショーン、おっかえりー!当直終わったの?」
「まだですが、ニールにもう一度様子を見に行くように言われまして。それにしても、これは…片づけはしっかりされる予定ですか?」
「え?…当たり前だよ!」
「昼食の準備前にこの状態のままでしたら、お仕置きですよ」
「えええええええええええ!?」
僕には何の話だか分からなかったが、ケンがいつも通りの大声でショーンに何かを訴えている。ポンポンっとケンの頭を撫でたショーンはこちらを振り返ると二コリと笑った。
「ショー、ン。コ、レ…」
「アサ、これはおいしそうですね。一口目を私がいただくとニールに怒られそうなので、遠慮しておきますね」
「ン?イ、ヤ?」
「違うよー!アサ、これはニールにあげないと!」
「ニール?ウ、ウン」
「食堂にもっていきますか、ケン?」
「そーだね!そーしよー!」
「アサ、そちらをもって、食堂に向かいますよ」
「ハ、イ…」
食堂に向かいながらも、僕は散らかった厨房が気になって仕方なかった。
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