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第33話 アサが欲しいもの
「ァウ…ン…!」
これは、なんていう感情なんだろう。
自分でもよく分からない気持ちのよさに頭がくらくらし、目の前にいるこの人の唇を求めなくてはいけない不思議な気持ちがどこからともなく湧いてくる。
これが、好きって感情なのかな。
級友たちが、この子が好きだ、あの子が可愛いと話をしていたことを思い出した。
その時、僕には「好き」の意味がしっくりこなくて、一緒に遊ぶ友達も、たいせつな家族も、飼い犬も道端で見かける猫だって僕は好きだなぁと思っていた。
少し前に、ケンが教えてくれた「スキ」と言う言葉をニールに伝えたことがあった。その言葉も、母国語の好きと同じなら、僕はニールがスキなのかもしれない。
「…ァァ…ハァ…ンン…」
気持ちいい…
やさしい手に撫でられ、蕩けるような口づけが僕に注がれるたびに、心臓がバクバクと音を立てる。指に力が入らないけど、この人が離れていかないように、しっかりと掴まっていなくちゃ。
人に触れられることが気持ちいんじゃない。ニールだから…
快感におぼれながらも、色々と考えを巡らせていると突然寂しさが訪れた。
「ン?ニール?」
早口で何かを言い寝床を去っていく背中は、僕よりも逞しい。
なぜか分からないけど、早く戻ってきてくれないと寂しくて泣きたくなってしまうような意味の分からない感情でいっぱいになった。
下穿きは、今まで与えられていた刺激と快感でしっとりと濡れていて、少し気持ち悪い。
これから、何をするんだろう?何だか分からないけど、ニールが欲しい。それが叶うなら、僕は何だって受け入れられる。
――早く戻ってきて
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