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第105話 ニールの人探し

 ふーん、と腕を組んだ船長が興味なさげに天井を見つめた。  いや、実際、興味がないわけはないだろう。幼いケンを拾ってここまで育ててきた人だ。心配はしているはず。 「風邪薬ってこの倉庫でしたっけ?」 「ああ、熱だったら、解熱薬のがいいかもしれないな」 「それも倉庫っすか?」 「お前、倉庫片付けてたんだからわかるだろ」 「い、いや…そこまで行きついてないです」  はぁ?!っと大きなあきれ声を出して船長は立ち上がった。 「今日中には何とかしろよ」 「いや、」 「でもだっては聞かねえぞ。下の奴らに示しがつかないだろ?」  こんな時に説教かよ!とふつふつ腹が立ってくるが、もとはと言えば自分が蒔いた種。ちゃんと仕事していればこんなことにはなっていなかった!  それはさておき、ケンが熱で苦しんでいるのは変わらないことだ。  さっさと薬を探して部屋に持って帰らないと、ショーンも気疲れで熱を出すかもしれないし。 「薬は二番目の棚の救急箱だ。おい、サイにも声かけとけ」 「サイ、ですか?」 「ああ、実家が町医者やってるらしくてな、免許は持ってないが俺らよりは役に立つだろ」 「そういうことは先に言ってくださいよ!」  はいはい、と言った船長のこの手の振り方は、さっさと去れと言う意味だと俺は知っている。  おそらくケンの手を握ったままパ二クッているであろうショーンのもとに早く戻らなければ。こうやって冷静になってみると、ここまで風もケガ人も出さずに平和に船に乗って来れたのはスゴイことだな。 「二番目の棚…っと、これか」  思っていたより簡単に薬は見つかった。  あとはサイを拾ってケンの部屋に戻るだけだ。 「で、サイはどこにいんだ?」  この船は貿易船の中では大きいほうではない。それでも、ある程度の人数は乗っているし、それなりに部屋の数もある。外にいるかもしれないし部屋にこもっている可能性もある。当直なら、サイは厨房にいるだろうが、そうでなければ談話室にいるかもしれない。 「何で俺が船の中を歩きまわることになったんだ」    文句を言ってもはじまらないのは分かっているが、無駄な時間を過ごすならアサとのんびりしたい。 「おい、サイ、見かけなかったか?」 「あ、ニールさんっ、お疲れ様です。サイなら外で絵描いてるはずです」  と、談話室にいたやつらに言われ、今度は外へと向かうこととなった。  甲板に続く扉を開くと、そこには青空が広がっていた。 「うわ、快晴ってやつか。気持ちがいいな」 「ふふ、ニールさんお疲れ様です。外に出てくるなんて、珍しいじゃないですか」 「サイか、ちょうどいい。お前を探してたとこだ」 「ニールさんが、ボクを?」  床に座ってスケッチブックと絵具に囲まれた茶色い瞳がこちらを興味深く見返した。        

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