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第126話 ケンは反省してる?

 こんなに怒られたの久しぶりだー!  確かにね、幼い頃はいたずらして船長に怒られたりとか、勉強サボって船長に怒られたりとか、嘘ついて船長に怒られたりとか……とにかく、怒られることが多かったんだ。父親代わりだし、僕のこと育ててくれたから当たり前のことなのかもしれないけどさ。  僕だってもう18だよ?!子ども扱いするなんてひどくない?!  何がお尻ぺんぺんの刑だよーお尻痛い!!しかも、アサは怒られなかったんだよ!なんでアサは部屋に帰って良くて僕は怒られてるの?! 「おい、ケン。お前反省してんのか?」 「おしり痛い」 「叩いたからな」 「暴力反対」 「躾だ」  アサのお尻は叩いたら面倒なことになる。とか言うんだよ?僕は?僕の人権は?!    ボクが抱き着いたせいでアサが望遠鏡を落としちゃって、その瞬間に船長が甲板に現れるという最悪のタイミングで……運が悪いとしか言いようがない。望遠鏡は傷一つついてないし、アサも僕も怪我しなかったって言うのに! 「でも、壊してない」 「それはたまたま壊れなかったんだろ?お前の不注意で望遠鏡を落とした。壊れた壊れてねーって問題じゃないんだよ。分かるか?」 「でも……」  せっかくアサと仲良く遊んでたのに。風邪ひいてたからずっとアサとラブラブできなくて、やーーーーっと二人だけで遊べたと思ったのにっ! 「ううう」 「泣いてんのか?ケン、泣いたら俺が許すと思ってんのか?」 「でもぉ!僕、落とすつもりなかったもん!アサが可愛いからぎゅーってしたくて、ぎゅーってしたら、アサがビックリして望遠鏡が落ちちゃって……」  もー!昔は泣いたら許してくれてたのに最近は「泣き泣き作戦」が効かなくなってきてる!談話室のソファーに腰掛けた船長がにらみを利かせてきて怖いんだけど。  この部屋に2人で入ってきた時は、何人か他の人もくつろいでたのに、気づいたらみんなどっか行っちゃった。誰も僕のこと助けてくれないのー? 「お前の不注意がいけないんだよな?他人のものを借りたんだから自分のものより丁寧に扱う。借りた時と同じ状態で返す。って小さい頃教えただろ?」 「うん……」 「ましてやこれが俺にとって大事なもんだってお前は分かってたんだよな?」  そうなんだ、これはミリさんが船長に贈った大切な望遠鏡で、横に二人の名前と大事な日付が彫られている。他の人には触らせたところを見たことがない。新しくないのにいつまでも綺麗に保たれた宝物なんだ。 「……ごめん、なさい」  泣き声でそういうと船長が僕の頭を撫でた。 「分かればいいんだ」  僕の父親代わりは怖くて優しい。

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