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第132話 ミリの作戦*
「聞こえねーぞ、ミリ」
「セブの…おっきいの、はいってるの」
「俺のおっきい何だ?」
これが始まるとセブはちょっとしつこい。
手荒く扱われるのも、激しく突かれるのもセブにやられたら何でも気持ち良くて好きだけど、このやり取りはめんどくさい。
「性器…」
「ミリーもっとカワイイ言い方してくれよー性器って、そりゃー間違ってないけどさ」
毎回、ではないが頻繁にこの会話は繰り返される。
もちろんセブの一部が僕の体に入ったまま話してるわけで、会話の折々でぐりぐり腰を動かしてくるから余計に、だ。
「セブ、もう言ったからぁ、早くイかせて?セブも一緒にイこ?」
こういう時は甘えん坊作戦だ。
「ね?」
頭の上でまとめられていた両腕を動かし、ぎゅっと恋人の首にまとわりつく。
自然と近くなった唇に舌を這わせて、上目遣いで見上げて首を傾げれば作戦成功なはず。
「お願い。僕のために、動いて?」
「…っ、くっ、ミリ、その腰やめろ」
「はぁっ、んっ、気持ちぃ」
自分より大きい恋人の体重で押しつぶされた腰を突き上げるように動かす。
硬くて太い杭がぐっと内壁を抉り、自然と熱い息が漏れてしまう。
だめだめ、これは作戦だから。
自分だけ気持ち良くなってる場合じゃない。
セブをその気にさせて、このめんどくさいやり取りを終わらせなきゃ。
ぐちゃぐちゃと水音が耳に届き、体の芯がポッと温まっていくのを感じた。
「ぁ、はっ、もう出ちゃうぅ。セブもっとちょうだい?お願い」
恋人の前髪がパラリと落ちて、崩れた髪型の間を縫って汗の珠が流れ落ちる。
船の生活には運動不足が付き物だけど、そんな心配は僕たちにはなさそうだ。
「…くそっ」
ほら、僕の勝ち。
今まで以上に眉間の皺を深くしたセブがぐんっと下半身を動かした。それはもう、僕の中を抉って、抉って、突き抜こうとしているみたいな動きで、「お願い」なんて何度も煽っちゃった自分をあとから後悔するくらい、セブは僕を突いて突いて突きまくった。
「ぅわぁ!ひゃっ、ま、ああ、待ってってば、ぃあぁぁぁ!」
「お前のせいだ。煽りやがって。ほら激しくしてほしいんだろ?」
偉そうに笑った恋人の顔は悔しいけど整っている。汗に濡れていても、髪が乱れていても、マヌケに裸に靴下しか履いていなくても、ハンサムな人間はとことんハンサムらしい。
「ぃっ、痛い、やぁぁ!」
最奥の奥を目指すように僕の肩を両手で固定したセブが、ガブリと首筋に齧り付く。鈍い痛みが首から背筋、尾てい骨からつま先までピリピリと刺激していくようだ。
噛まれることを快感に思うなんて、とんだ変態かもしれない。
「…っ、ミリっ、出すぞ」
「んっ、ぁ…お願いぃ中に、だしてっ」
ひりひりと痛む首に、ガタガタと揺れる視界。
愛する人と1つになれる行為に溺れて僕は無意識に声を漏らす。
涙でぼやけてきた瞳を拭う余裕などない。意味の分からない言葉を言い合って僕たちは高みを超える。
「はっっ、痛いっつって射精しやがって」
意地悪な恋人は嬉しそうに傷跡を舐めた。
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