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第133話 船長は…妄想好き?*
「はぁはぁ、負けた」
「あ?」
「絶対僕の勝ちだと思ったのに」
何のことだかわからねえよ、ミリ。
尖った唇を唾むと、腕の中の恋人がフンっとそっぽを向く。余計なことで負けず嫌いになる気の強い性格だ。良く分からないが、何か競争をしていたのだろうか。
「なんだ、俺より先にイッたからか?それとも量か?」
「…っ!量なんて分からないよ、だって、セブは——」
「お前の中に出したからな」
繋がったままの体はいつも以上に温かい。
愛しそうに腹を撫でるミリを見つめて俺はもう一度口を開いた。
「で、何の競争だ?」
「競争じゃないけど…セブが、恥ずかしいこと言わそうとするから色気使ってごまかそうと思ったのに、なんか僕の方が先にイッちゃったし、気持ち良かったし、アレ言わなくてよかったけど勝った気がしない」
はああ?
「お前、不思議なことでスイッチ入るよな」
「だって、どうせヤるならセブを堕としたいもの」
何言ってんだ、もう堕ちてるよ、呟くと汗ばんだミリのこめかみに唇を寄せた。腕の中の裸体がくすぐったそうに捩れる。長い髪を乱したままのミリが俺を見上げた。
「ねえ、今度はいつもと違ったことしない?」
天使が小悪魔に変身した瞬間だ。
何を言ってるんだ、ってバカにされてもいい。
ミリは質の悪いタイプの天使なんだ。
無垢純粋キラキラ星を飛ばしながら毎日仕事しているが、こうやって俺の前では妖しい小悪魔ちゃんになる。
「何の話だ、奥さん?」
「今度の話、ふふ。今度、僕をベルトで縛っていいよ」
「今度?今夜の話か?」
明日、ミリは仕事が休み。俺は日直が入っているが大体の仕事はニールとショーンに任せるとして…いやもう若くないがあと2ラウンドくらいできる体力はあるはずだ。なくても、絞り出す!
「もぉーまだ頑張れるの?今日は無理だよ、僕疲れたから」
「な?!お前、期待させといて!」
「ちょっと、大きくさせないでよ。もうっ!抜いて!」
ベルト
ミリ
ベルト
ミリ
ベルト
ミリ
ベルト
ミリ
ベルト
ミリ
ベルト
ミリ
考えただけで萌えるだろ!俺のせいじゃない。
「セブ。一緒にシャワー入らせてあげるから、今日はもう寝よう?明日仕事でしょ?船長が使い物にならなかったら部下に示しがつかないよ」
「おっしゃる通りです」
「よろしい」
「だけど少しくらい妄想させてくれ。いや、これは予習だな。お前を縛る予習だ」
両手首を頭上に縛ってベッドの端に括りつけるのが良いか。ぐでぐでに溶けるまで舐めて舐めて———
いや、まった、縛るならベルトじゃなくて紐でも良いのか。性器の根元を縛って俺が良いって言うまで出させないのも良いな…
うーん、いや、予備のロープで全身を縛るのも良いな。予備のロープ、倉庫にあったはずだ…
「ねえ、セブってば、ねえ」
だらしない顔をした俺が正気に戻るまで、ミリはガタガタと俺の肩をゆすっていた。
「ちょっと、涎たれてるって!」
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