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第183話 アサの恥ずかしがり
「アサ、自分でできるか?」
「ァンッ、ジブ、ン?ニール、マッテ」
熱がこもったニールの声が僕の耳をくすぐる。病室でこんなことしたらだめだよって、両手で必死に抵抗してるのに、気づいたら僕は下半身丸出しでニールに跨がっている。
大好きな人の前で自分の性器を握っている、それだけでも顔から火が出そう。慌てすぎて頭がパーンってなりそうなのに、ニールの手が僕の手を覆う。手を放したくても、大きな手には力がこもっていて、それを許してくれないんだ。
何が起きてるんだろう。お世辞でも大きいとは言えない自分のモノを、ニールが触れることは過去にもあった。それを見ているだけでも恥ずかしいし、気持ち良いしでいっぱいいっぱいになっちゃうのに……
ニールが口にする言葉をすべて理解できたわけじゃないけど、多分……自分で扱くところを見せろって言われている気がする。
「ンッ……ヒャァッ!ァァ……」
「気持ちいいな、アサ?一人でやれるよな?」
「ヒ、トリ?コ、コレ…?」
「ああ、お願いだ」
そういうと、ニールが顔を近づけてきた。心が今まで以上にドキドキしてしまうくらい、甘くて優しい視線が僕をまっすぐとみつめている。
体が溶けそうになり、頭が回らなくなるような口づけが繰り返し送られる。下の根っこが痛くなって、座っていられなくなるくらい背中がぐにゃぐにゃして来ると、僕はニールの背中に手を回したくなった。
いつもそうするから。口の中でこれ以上近づけない!っていうくらいくっつき合うと、体も密着させたくなるんだと思う。これが普通の反応なのか、不思議に思ったこともあるけど、残念ながら僕には相談相手がいない。
ケン?ケンはちょっと違う気がする。一番の友達だからこそ、こういう話をするのは恥ずかしい。
「ハァゥ……ワカッ、タ、ヒトリ、スル」
「ほんとか!ありがとう、アサ。断られるか嫌われるかと思ったよ。思い切って頼んでみてよかった」
「ン?ナニ?」
「気にするな」
早口で呟かれた言葉は一つも理解できなかった。手の甲を包むニールの手は目的を持ったかのように、ぐにぐにと動く。直接触られていたら簡単に快感を生んでしまうであろう動きだ。
「ハァア、ン、ンッ」
手を動かしているのはニールなのに、性器に触れているのは自分の手だから、自慰をしているような気分になってしまう。だけど、自分でやるときとは微妙に動きが違うし、それに……えっと……普段そういう気分になるときはニールが仕事でいないときに処理をしてしまうなら……こういうことって他人に見せることじゃない。だからか、すごく恥ずかしいことをしている気がしてきて、ニールの顔を見ることさえできない。
「ンッ、ァアッ……!」
「いい子だ、アサ。一人でやっているとこ見せてくれ」
「ンッ」
ゆっくりとニールの手が離れていく。与えられていた快感を失いたくなくて、僕は一人で手を動かし続けた。向き合って座るニールの体温がむき出しの肌から伝わる。
「……ャ、ハァ、ンッ、ンッ」
この時僕は、自分たちがどこにいるのかなんてわすれていた。
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